Energia 中国電力

第三者のご意見

戸田常一
広島大学名誉教授
広島大学大学院社会科学研究科特任教授
戸田  常一

  CSR(Corporate Social Responsibility)は「企業の社会的責任」と訳されますが,企業にとって本源的な社会的責任は,社会の構成員として自らの事業活動を安定させ,成長させることにあります。顧客に安価で良質なサービスを提供することが,従業員や株主・投資家,さらには取引先からも信頼感を引き寄せ,地域経済の発展に資することにもなります。一方で,企業の事業活動は,環境や社会に対して様々な影響をもたらしますが,それが社会の持続的発展を損なわないことも企業の社会的責任と言えます。エネルギアグループにおいても企業としての社会的責任を果たすための様々な取り組みが必要となります。
  このような視点からエネルギアグループのCSRの取り組みを見たとき,「社会の持続的発展」という意味で取り組みの充実を図っていただきたいと感じました。エネルギアグループは中国地方という枠組みで事業活動を行っている数少ない企業グループです。このため,中国地方という枠組みの持続的発展を支えることが社会的責任でもあり,他の企業にはない特性を活かした取り組みが期待されます。現在でも中国地方の企業立地に関する情報提供や,外郭団体などと連携した地域経済の調査・検討などに取り組まれていますが,中国地方全体を意識した活動をより一層行ってほしいと思います。

  また,CSRレポートの記載という観点での気づきが2点あります。
  1点目は,CSRの取り組みの見せ方に一層の工夫が欲しいということです。  企業活動を行う上で関わるすべての人をステークホルダーと呼びます。ステークホルダーには,顧客だけでなく,従業員や株主・投資家,取引先,さらには企業活動により影響を受ける環境や社会も含まれます。エネルギアグループにおいても,CSR行動憲章の冒頭でステークホルダーを“お客さまをはじめ,株主・投資家の皆さま,地域社会,お取引先,社員,そのほか多くの方々”と定め,8つの行動原則が提示されています。
  CSRを考える場合には,ステークホルダーの視点に立つと,誰に対する社会的責任かがより明確になります。CSRの取り組みを紹介する上では,羅列的な紹介にならないよう,各行動原則の性格やさまざまなステークホルダーとの関係を図式的に表現するなど,わかりやすく伝える工夫が必要だと考えます。

  2点目は,エネルギアグループのCSRレポートという観点で見た場合,中国電力の取り組みだけでなく,エネルギアグループという視点からの記載を充実させて欲しいということです。エネルギアグループには製造業からサービス業まで多様な企業が含まれており,8つの行動原則についても,共通的に重要視すべきものと,企業によって力の入れ具合が異なるものとがあります。幅広い取り組みにおいて,きめ細かなCSRの取り組みのPRが求められます。
  とりわけ「防災等への取り組み」については,より一層充実させていただきたいと思います。2011年3月に発生した東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故以降,防災・減災対応が大きな課題であり,世間の関心事となっています。エネルギアグループとして,地震,台風,大雪などの自然災害にどのように備え,災害発生時にはどのように対応するのか,また,原子力発電所では自然災害に対してどのような対策を講じているのかなど,今以上に分かりやすく伝える工夫が必要でしょう。

  電気事業を取り巻く情勢は大きく変化していますが,引き続き企業の社会的責任をしっかりと果たしていくことで,中国地方の持続的発展に貢献していくことを期待しています。