Energia 中国電力

社長インタビュー

Q.1  現在,日本では,原子力発電所の再稼働に向け,原子力規制委員会による新たな安全基準への適合性審査が進められていますが,島根原子力発電所の状況はどうなっているのですか。再稼働に向けた今後の見通しはどうでしょうか。
A.1  当社の島根原子力発電所においては,2号機の適合性審査が進められています。再稼働時期について確たることを見通すことはできませんが,まずは原子力規制委員会の審査をクリアすることが必要であり,審査対応に全力を挙げているところです。
  社会・経済活動の基盤となる低廉で安定した電力供給を実現していくためにも,また,会社業績を健全化させ株主・投資家の皆さまのご期待にお応えしていくためにも,原子力発電所の安全性向上に取り組み,早期に 稼働させることが不可欠と認識しています。再稼働には,原子力規制委員会の審査をクリアすること,規制基準で求められている対策が完了していること,そして,地域の皆さまにご理解をいただけることの3つが大きなポイントになると考えています。
  2号機(営業運転開始1989年,82万kW)については,適合性確認申請を2013年12月に申請し,現在,原子力規制委員会による審査が進められていますが,審査においては,基準地震動の確定が大きなポイントになると考えています。
  再稼働の具体的な時期については,確たることを申し上げることができる状況にはございませんが,現地の安全性向上対策も精力的に進めており,再稼働に向けて着実に前進しているものと受け止めております。
  3号機については,国,メーカー,電力会社が共同で開発した安全性・信頼性の優れたユニットである,改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)を採用しており,電力自由化による競争が進展する中,当社の競争力の源泉となる重要プラントです。設備は既に完成しており,燃料装荷までに行われる使用前検査は全て終了しています。現在は安全性向上対策を進めるとともに,適合性確認申請の準備を進めているところです。
  また,原子力発電所を稼働させ,安定的に活用していくには,地域の皆さまのご理解が不可欠です。政府は,2014年4月に閣議決定された「エネルギー基本計画」において,「原子力規制委員会が,規制基準に適合すると認めた場合には,原子力発電所は再稼働を進める」「国も前面に立ち,立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう取り組む」としています。当社は,安全性向上に向けた設備面での取り組みを進めるとともに,全電源喪失を想定した訓練等の実施による社員の意識・対応力の向上を継続的に図っていくなど,ソフト面での安全性向上にも努め,これらの取り組みを地域の皆さまに丁寧にご説明していくことで,原子力発電の安全性に対する不安の払しょくに努めていく考えです。
Q.2  2018年3月期の配当を未定としていますが,今後の配当見通しについて教えてください。
A.2  配当を未定としておりますが,1株につき年間50円の安定配当を継続するという基本方針を見直す考えはありません。
  配当については,当社は安定配当の継続を基本とし,単年度の業績だけでなく中長期的な収支・財務状況の見通し等を総合的に勘案し,1株につき年間50円の配当を実施してまいりました。
  現状,島根原子力発電所の稼働停止の長期化により,自己資本の毀損が相当程度進んでおり,島根原子力発電所が稼働するまでの間の配当については,その時点の収支・財務状況を確認した上で,都度,判断させていただきますが,安定配当の継続という基本方針を見直す考えはありません。
   年度ごとの変動はありますが,大型石炭火力が停止するなど突発的な収支悪化要因がなければ,大きな赤字にはならない経営体質になってきていると考えています。経営の安定化には島根原子力発電所の稼働が不可欠という状況に変わりはなく,1日も早い島根原子力発電所の稼働と更なる効率化に注力することが最優先課題と考えています。
Q.3  日本では電力システム改革が進められており,2016年4月の全面自由化開始から1年が経過しましたが,現状をどう受け止めていますか。また,自由競争下において,民間事業者が原子力発電所を運営していくことはリスクが大きいとの見方も市場にはありますが,どのように考えていますか。
A.3  競争は激しくなっていますが,当社の新たな料金メニューやサービスに対して,多くのお客さまから確かな評価をいただいております。付加価値の高いサービスを提供していくことなどで,事業基盤である中国地域のお客さまに引き続き選択していただくことを目指してまいります。
  また,民間事業者が原子力発電所を運営していくには,将来の見通しをもって長期の事業を計画し,実行できる環境整備が不可欠だと考えており,必要な政策措置が講じられるよう求めていく考えです。
  電力の小売全面自由化を受け,中国地域にも多くの新電力が参入するなど,競争が激しくなっています。このような中,昨年から提供している会員制WEBサイト「ぐっとずっと。クラブ」および新料金メニュー「ぐっとずっと。プラン」の会員・加入口数が,いずれも2016年度末時点で50万口を突破しており,多くのお客さまから確かな評価をいただいております。
  当社グループとしては,家庭から事業用までエネルギーに関する多様なニーズに対し,付加価値の高いサービスを提供していくことなどで,事業基盤である中国地域のお客さまに引き続き選択していただくことを目指してまいります。
  一方,自由化によってお客さまがメリットを享受するためには,原子力発電所の再稼働が進むなど電力需給の状況が安定していることや,競争環境下においても安全確保を大前提に原子力発電を重要なベースロード電源として活用していくための事業環境整備が必要になります。
  この事業環境整備の一環として,2016年5月,原子燃料サイクル事業について,国の一定の関与のもとで事業に必要な資金が安定的に確保され,着実かつ効率的に事業を実施することを目的とする法律が成立し,同年10月には,その実施主体として,使用済燃料再処理機構が設立されました。また,原子力損害賠償制度についても,国と事業者の適切な役割分担等,国による見直しの検討が行われています。
  当社としても,民間事業者が原子力発電所を運営していくには,将来の見通しをもって長期の事業を計画し,実行できる環境整備が不可欠だと考えており,必要な政策措置が講じられるよう求めていく考えです。
Q.4  中長期的な成長シナリオについてどのようにお考えでしょうか。
A.4  まずは,島根原子力発電所の早期稼働に取り組み,加えて,三隅発電所2号機の開発等により電源の競争力強化を図ります。また,国内他地域や海外における成長事業により収益力の底上げを図っていくことで,震災前を上回る利益水準を安定的に確保することを目指します。
  当社は,2016年1月に,2020年代を展望した「中国電力グループ経営ビジョン」を策定し,利益・財務の目標を掲げました。
  まずは,島根原子力発電所の審査対応に全力を挙げ,2号機の早期再稼働,最新鋭機である3号機の着実な運転開始に取り組みます。加えて,100万kWの石炭火力である三隅発電所2号機の開発等によって,電源の競争力強化を図ります。
  また,首都圏における電力販売事業,マレーシアにおける石炭火力発電事業への出資参画等,国内他地域や海外における収益基盤を確立するための取り組みを進め,グループとして収益力の底上げを図ってまいります。

  なお,2017年4月には,千葉市での石炭火力発電所の開発に向けた検討を進めるため,JFEスチール株式会社と共同で新会社を設立しました。
  これらの取り組みを通じて,ビジョンに掲げた利益・財務目標の達成を目指します。

2017年6月