第27回 自治体説明会

《開催日》2019年6月14日(金)13時10分~15時10分
《出席者》島根県,松江市,出雲市,安来市,鳥取県,米子市,境港市

前回の説明会(2019年4月22日)以降に開催された3回の審査会合の概要等についてご説明しました。

<内部溢水影響評価他>

○ご説明資料
島根原子力発電所 2号炉 内部溢水影響評価について [PDF:11,722KB]
島根原子力発電所 2号炉 竜巻影響評価について [PDF:7,536KB]

○主なご説明内容
内部溢水影響評価および竜巻影響評価についてご説明。

○自治体からの主なご質問

  • 竜巻影響評価の設計竜巻について,92m/sに保守性を持たせて100m/sにすると審査会合で説明しているが,保守性についてどのように説明していくのか。

    →設計竜巻の設定については,まず,検討地域を設定し,過去に発生した最大風速を調査する。2019年5月9日の審査会合では,過去に発生した最大竜巻69m/sに不確定性を踏まえて92m/sとし,飛散解析は100m/sで評価をしていると説明したところ,どのように保守性を考えているのかと指摘を受けた。具体的な数値は検討中であり,今後は統一した数値で説明していく予定である。

<内部火災他>

○ご説明資料
島根原子力発電所 2号炉 内部火災について [PDF:14,755KB]
島根原子力発電所 2号炉 津波による損傷の防止(コメント回答) [PDF:13,015KB]

○主なご説明内容
内部火災および津波による損傷の防止についてご説明。

○自治体からの主なご質問

  • ケーブルトレイ3時間耐火ラッピングについて,なぜラッピング内の火災感知が必要なのか。

    →系統分離の考え方としては,3時間耐火ラッピングにより,異なる区分のケーブルを分離することで基準は満足するものと考えている。また,耐火ラッピング内のケーブルが設備故障等で燃えた場合は,窒息消火することを実証検査で確認している。これに合わせて,自己消火した後の鎮火確認にあたって,場所の特定を容易にするために,自主的にラッピング内の火災感知を行う。

  • 耐火ラッピングしていると窒息消火するとの説明だが,燃焼せずに鎮火する状況の中でどのように火災感知するのか。

    →実証試験の中で,高感度の煙感知性能を有した感知器を用いて成立性を確認しているところであり,煙感知器を設置する方向で検討している。

  • 系統分離の考え方について,区分Ⅰ,Ⅲ間は系統分離しているのか。

    →資料に火災区域の設定の考え方をまとめており,単一火災を考慮し,区分Ⅰ,Ⅲに属する機器と区分Ⅱに属する機器を3時間の耐火壁にて分離する。区分Ⅰ,Ⅲのところに区分Ⅱのケーブルが敷設されている場合は,耐火ラッピングにて分離対策を行う。区分Ⅰ,Ⅲの中に区分Ⅰ,Ⅲケーブルが同時に敷設されている場合,分離対策を実施しない。
    区分Ⅰ,Ⅲを分けない理由としては,区分ⅠとⅢはひとつの区分として整理し,機能が異なるものとして,区分Ⅱを防護するという考え。

  • 地震が起き,制御盤が機能しないことになり,感知できないとか自動消火の信号が送れないということは想定していないのか。

    →感知器,制御盤については,基準地震動で機能維持を図る設計としており,地震に伴い感知できなくなるというものではない。また,煙と熱の異なる2種類の感知器を設置しており,どちらか一方で感知できるものと考えている。固定式消火設備については,仮に中央制御室で遠隔起動できなくても現地で起動させるなど消火を適切に行う設計としている。

  • シミュレーションで漂流物評価をしていると思うが,従前は,9地点のサンプリングをして,そこから求めた流速により半径2㎞の範囲から漂流物が到達するとしていたものを前回審査会合において,シミュレーションを使うということに変更したという認識でよいか。

    →漂流物が島根原子力発電所に到達するということで,シミュレーションを使い確認していく説明を前回実施した。それに対して,このシミュレーション結果は,水の移動を模擬しているので,実際は,船舶の持つ慣性力等を考慮する必要があるのではないかと指摘されており,現在,再検討している。

  • 防波壁と接続する地山の健全性について,地山の地質調査は実施しているのか,また,今後,実施する予定はあるのか。

    →地山について,敷地内の地質・地質構造の調査ということで,2号機建設時からいろいろな調査結果があり,これから新たに調査をするという考えはない。具体的に言うと,ルートマップといって地質図を描くような地表地質踏査のデータ,ボーリング調査もあるので,現在,資料を取りまとめているところであり,これにより説明しようとしている。

<事故シーケンスグループ及び重要事故シーケンス等の選定他>

○ご説明資料
島根原子力発電所 2号炉 事故シーケンスグループ及び事故シーケンス等の選定について [PDF:11,204KB]
島根原子力発電所 2号炉 安全施設(コメント回答) [PDF:1,771KB]
島根原子力発電所 2号炉 燃料体等の取扱施設及び貯蔵施設(コメント回答) [PDF:460KB]
島根原子力発電所 2号炉 放射性固体廃棄物の固化材の変更について(コメント回答) [PDF:1,180KB]

○主なご説明内容
事故シーケンスグループ及び重要事故シーケンス等の選定などについてご説明。

○自治体からの主なご質問

  • 固化材の変更については,2013年の申請時からあったものか,補正で対応するのか。

    →申請時からあったものではなく,アクセスルートの検討をする中で,設備を変更した方がより安全に事故対応ができるという判断をし,方針を見直した。今後の補正の中で対応していく。

  • 全炉心損傷頻度に対する寄与割合で崩壊熱除去機能喪失が54%を占めており,炉心損傷頻度は,どのシーケンスが大きいのか数字を見たところ,過渡事象+崩壊熱除去失敗が占めている割合が大きいと見受けられる。これについて,なぜ大きくなるのかの説明をお願いしたい。

    →過渡事象+崩壊熱除去失敗について,プラントの構成によるところもあるが,従来の確率論的リスク評価においても同様な結果が出ており,先行他社のプラントにおいても崩壊熱除去機能の喪失というのが主な事故要因,事故シーケンスとしてあげられている。圧力容器に注水が行われ,炉心が冷却されている状態であっても,格納容器の外に崩壊熱を出すことができない,最終的な熱の捨て場を確保できないというのがこの事象になり,このような場合,格納容器が壊れ,圧力容器が壊れる事故につながる。プラント設備等を考慮して炉心に注水を行うなど,燃料を冷やす対策はいろいろあるが,最終的に格納容器の外に,崩壊熱を逃がして,プラント全体として冷却を成立させることができるかが,今回の結果からも重要であるという結果となっている。
    補足として,福島第一原子力発電所の事故では,崩壊熱除去などに失敗して炉心損傷に至ったが,崩壊熱除去機能喪失の対応ということでは,新たにフィルタ付ベント設備の設置や代替の残留熱除去系設備等の設備対応など,事故対策につながっている。

  • プラスチック固化をやめてセメント固化にすると,ドラム缶の年間発生量が80本から400本となり,ドラム缶が増えると良くないと考えるが,その判断の理由を教えてほしい。

    →まず,事故対策を行う上で,プラスチック固化のままでは難しく,ほかの方式として選択できるのがセメント固化となった。セメント固化でのドラム缶発生量は,年間400本であるが,将来的には,廃液を紛体化して発生本数を抑制することも可能と考えており,将来的な課題と認識している。国内ではセメント固化がひとつの流れであり,特別セメント固化が悪いというわけではなく,プラスチック固化より本数は多くなるが,現実的な方法として安全確実に実施できる方式であると考える。

  • 配管強度のフラジリティ評価について,市民からは,例えば地震が起きると,配管が簡単に壊れて水が出て炉心損傷になるという意見をいただくが,本当の発電所の配管設計では,このような配管の破断までに,どれだけ裕度があるというようなことを教えてほしい。

    →実際の発電所施設の配管系を模擬して,配管部分に重りをつけ,サポートの数を少なくし,どこまで振ったら配管が壊れるのかといった試験を香川県多度津の加振装置で実施した。配管のエルボ側面について,ひびが生じ,水が吹き上がった。この時の試験の加速度は,設計上考慮しているものの約10倍であり,実際の配管は頑丈であり,なかなか壊れないことが確認できた。

  • 地震,津波審査は,審査項目ごとに概ね妥当な評価ということで,小さいコメントについては,まとめ資料に反映させるようにとの指示をもって,項目ごとに審査が終了したということがわかるが,プラント審査については,コメントがいくつか出て,それに回答して更なるコメントがなければそれで終わりとなるのか。

    →プラント側の審査については,審査項目が相互に関連しているものもあり,一つの項目の会合が終わったら全て終わりではなく,他の審査項目からのフィードバックもあるため,審査については全てが継続している中で何かあれば追加で確認していくことから,地震・津波とは状況が違う。

  • 中国電力のホームページ上でもいくつかプラントも審査済とあるものがあり,その確認であった。

    →当社のホームページでは,審査の進捗が見えるように審査済という言葉を使っているものがあるが,これらについては,注釈もつけており,今後の審査の中で変わっていくものもあるとしている。一旦は,説明して,指摘がなかったものを識別しているものである。

以上

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