広島県を流れる太田川の広島市内派川では,干潮時に現れる干潟の泥化が進み,河川の浄化能力の低下や貝類などの生物生息環境の悪化,さらには水辺景観の悪化といった問題が生じています。
こうした河川環境を改善するため,当社は平成16年度から,国土交通省太田川河川事務所の協力のもと,広島大学と共同で当社の大崎火力発電所(広島県豊田郡大崎上島町)から発生する石炭灰のリサイクル材である「Hiビーズ(ハイビーズ)※」を活用した河川底質改善技術の研究開発を進めてきました。
このたび,太田川の広島市内派川の一つである天満川において,本技術の普及拡大に向けた実証試験を開始しましたのでお知らせします。
※ Hiビーズ 火力発電所から発生する石炭灰を粒状に加工したもの。瀬戸内海において採取禁止・規制が進められている海砂の代替材として,主に地盤改良材および護岸工事に用いられ,グループ会社であるエネルギア・エコ・マテリアが製造・販売している。
1.河川底質改善技術の概要
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干潟に堆積し,泥化している底土に,その下層にある砂層まで達する直径数十cmの穴を空け,その中に「Hiビーズ」を投入します。「Hiビーズ」を投入した部分は,周囲の底土に比べ透水性が高くなります。(これを「浸透柱」と呼びます。)
浸透柱は,潮汐の干満差と地下水流を利用して,その周辺に水を循環させる働きをします。その結果,底土への酸素供給が促進され,干潟における生物の生息環境が改善されます。 |
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| 浸透柱による河川底質改善技術 |
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2.これまでの経緯
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平成16年度から17年度にかけて,天満川(広島市西区中広町)で浸透柱の小規模な予備試験を行いました。ここでは,底質改善効果として,浸透柱周辺の水質・底質が改善されるとともに,生息生物の種類・個体数が増加したことを確認しました。
平成17年度には,同じく太田川の広島市内派川である旧太田川(広島市中区基町)に場所を移し,規模を拡大して実用化に向けた施工技術の確立と底質改善効果のメカニズムの検証を目的とした実証試験を開始しました。その結果,浸透柱による水循環の形成を定量的に確認するとともに以下のような河川底質の改善が確認されました。
なお,この地点では,浸透柱による底質改善効果について中長期的な評価を行うため,現在もモニタリング調査を行っています。 |
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| 【旧太田川における改善状況(約2年間実施)】 |
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浸透柱を施工している範囲の干潟表面では,砂泥を好み,その土粒子に付着する有機物を接種するバクテリア等を餌とするチゴガニを確認 |
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河川底質の質感や歩行性も浸透柱を施していない範囲の干潟と比べて改善していることを確認 |
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| チゴガニの営巣状況の比較 |
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| 土壌硬度の比較 |
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3.今回の実証試験の概要
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旧太田川での実証試験においても底質改善が着実に進んでいることが確認されており,その改善メカニズムも把握できつつあることから,本技術の普及拡大に向けて,再度天満川において旧太田川と同規模の浸透柱を設置するとともに,一般の方々にも本技術に実際に触れていただくための場として,底土上を歩行可能とする親水性覆砂を設置しました。
親水性覆砂とは,干潟に堆積した泥と砂および「Hiビーズ」の混合材料を敷設することにより軟弱な底土上でも歩行を可能とするもので,これにより浸透柱設置場所を一般の方々にもご覧いただけるようにしています。 |
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| 【実証試験の概要】 |
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試験区域 165m2(浸透柱設置区域70m2,親水性覆砂区域95m2) |
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浸透柱施行状況 42本(直径約40cm,深さ50cm) |
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| 天満川における実証試験 |
浸透柱設置状況 |
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なお,本技術については,産学官一体となって取り組んできた結果,実用化の段階に入ったと考えています。来る5月30日(金)には,土木学会,広島環境サポーターネットワーク,広島大学および国土交通省による「みんなで参加しよう太田川について考えるフォーラム」が開催されます。当社もパネリストとして参加し,本技術に関するこれまでの取り組みを紹介することで認知度の向上を図る予定です。 |
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