「革新的エネルギー・環境戦略」について
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中国電力株式会社取締役社長 苅田 知英
国際的な資源獲得競争の激化が想定される中,エネルギー資源に乏しい我が国においては,将来にわたり安定供給,環境保全および経済性を達成できるエネルギー戦略が切に求められているにもかかわらず,様々な課題や懸念について十分に検証することなく,我が国の将来に禍根を残しかねない政策が決定されたことは,極めて遺憾です。
経済界をはじめとして広く懸念が示されているとおり,本戦略が実施された場合には,電気料金をはじめとする光熱費の上昇,産業空洞化の加速,国内雇用の減退など,我が国の経済・社会全般にわたって甚大な影響をおよぼすことは必至であり,また,省エネルギーや再生可能エネルギー導入目標の実現可能性についても疑問を感じざるを得ません。
政府は,本戦略について不断の検証・見直しを行っていくこととしており,当社としては,先送りされた課題への国による取り組みを冷静に見極めながら対応したいと考えています。原子力発電については,安全性に対し多くの方が不安を感じておられるという現状を改めて真摯に受け止め,引き続き安全対策を徹底し,原子力発電が重要な電源の一つとして信頼いただけるよう努めてまいる所存です。
以上