卸電力市場への入札等に係る業務改善勧告の受領について

EnerGia 報道資料

中国電力株式会社

卸電力市場への入札等に係る業務改善勧告の受領について

 当社は、一般社団法人日本卸電力取引所のスポット市場を介して電力の売買を実施していますが、取引に係る発電所情報の公表等に関して、一部、不適当な対応があったとして、本日、電力・ガス取引監視等委員会から業務改善勧告を受領しましたのでお知らせします。

 当社は、資源エネルギー庁が策定した「需給ひっ迫を予防するための発電用燃料に係るガイドライン(燃料ガイドライン)」を踏まえて、安定的かつ機動的な燃料調達を継続的に行っています。今回指摘を受けたスポット市場での取引については、安定供給の確保のため、主に電力の高需要期に備え燃料在庫を高水準に積み上げることを目的に実施したものであり、不当な利益確保を意図したものではありませんでしたが、本勧告を受領したことを重く受け止め、今後、適切に対応してまいります。

1.事案の概要・当社の見解

【不適当とされた事案①】2022年度冬季の燃料在庫確保のための対応

 2022年10月、当社の石炭火力発電所の計画外停止等に伴い、当社重油火力発電所の燃料消費が想定よりも進んだことを受け、内航船を活用した輸送力に限界があったことから、冬季前の燃料在庫を高水準に維持できるよう消費調整を目的とした市場調達を同月に実施しました。市場入札価格の決定にあたっては、落札の可能性を高めるため、消費調整を行う当社発電所の限界費用(主に燃料費)より高い価格で買い入札を行いました。その際、当社としては、落札できなかった場合を考慮すると、当該発電所が出力低下するかどうかは未確定であったことから、出力低下の情報を発電情報公開システム(HJKS)※1に登録しませんでした。

【不適当とされた事案②】2022年3月の燃料在庫払底回避への対応

 2022年2月下旬以降、ウクライナ情勢悪化の影響で燃料・市場価格が高騰するなか、燃料消費の増加や燃料受入の配船日の変更等により、当社発電所のLNG燃料在庫が不足する可能性があったため、これを回避することを目的とした市場調達を2022年3月に実施しました。市場入札価格の決定にあたっては、落札の可能性を高めるため、消費調整を行う当社発電所の限界費用より高い価格で買い入札を行いました。その際、当社としては、落札できなかった場合を考慮すると、当該発電所が出力低下するかどうかは未確定であったことから、出力低下の情報をHJKSに登録しませんでした。

 また、当時の国の指針(適正な電力取引についての指針)に抵触しているものではありませんが、事案①②の類似事例として、事案③を電力・ガス取引監視等委員会へあわせて報告しました。

【参考(事案③)】

 2021年9~10月、当社および他社の火力発電所の計画外停止等に伴い、当社LNG火力発電所の燃料消費が想定よりも進んだことを受け、冬季の安定供給確保に向けて燃料在庫を高水準に維持するため、燃料調達や配船の調整を検討するとともに、複合的な手段として、消費調整を目的とした市場調達を同年10~11月に実施しました。その際、落札の可能性を高めるため、消費調整対象の当社発電所の限界費用より高い価格で買い入札を行いました。この対応に関して、燃料在庫が不足する懸念がない状態で市場調達を行うことに伴う出力抑制は合理性がないとの指摘を受けました。

 なお、当時の国の指針※2において、本事案はHJKSに登録する要件に該当しませんでした。

 ※1 発電情報公開システム(HJKS)

 発電事業者が、発電所の停止又は出力低下に関する情報を登録するために設けられた、一般社団法人日本卸電力取引所が設置する情報公表サイト

 ※2 適正な電力取引についての指針(2021年11月5日改定前)

2.業務改善勧告の概要

 電力・ガス取引監視等委員会からは、主に以下のとおり勧告を受けました。

 ・出力低下に関する情報を公表することなく、燃料消費を抑制することを目的として、発電ユニットの限界費用より高い価格での買い入札を行わないこと

 ・講じた措置の内容及びコンプライアンスの重要性に関して社内に周知徹底するとともに、遵守するための必要かつ適切な社内体制を整備すること

 ・講じた措置及び実施した周知について、2023年4月30日までに報告すること

3.今後の対応

 このたびの業務改善勧告の内容を踏まえ、引き続き適切な燃料調達に努めるとともに、卸電力市場取引を行う際には、国の指針(適正な電力取引についての指針)に基づき、適切な発電所情報の公表を確実に実施してまいります。

 当社は、今後も卸電力市場の活性化に資するための取り組みを進めてまいります。

以上