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Brandnew Talk vol.1 Side A

化学者・発明家

村木風海

夢は人類初の火星人。未来を切り開く、21歳天才化学者の研究活動。

Interviewer_Ota Yuji

世界が驚く21歳。 小学4年生で研究を始めた 化学者・村木風海さんの 研究の原動力は「趣味」?

マンガみたいな若き天才化学者は実在した。しかもここ、ニッポンに。村木風海さんは、現役東大生でありながら、自らの研究機構を率いる代表理事。肩書だけ見たらちょっと委縮しちゃう、このスーパー21歳の実態を探るべく、ひとりの男が遠慮がちに手を挙げた。「僕なんかでよければ…」。大崎クールジェン・大田祐二さん(中国電力社員)。実は彼、ちょっと驚くような最先端の火力発電所で働く技術者だ。もの静かな物腰のなかに、仕事に対する情熱を宿した大田さん。年下の天才に、さあ、何を聞きましょう?

大崎クールジェン・大田祐二さん(以降大田):そもそも村木さんは…なんで化学者になろうと?

村木風海さん(以降村木):小学校4年生のときに、おじいちゃんからプレゼントされた、スティーヴン・ホーキング博士の『宇宙への秘密の鍵』っていう本がきっかけなんです。

大田:イギリスの天才物理学者ですね。

村木:実際の物理学をベースにした宇宙冒険小説なんですけど、「地球以外で一番人類が住めそうな星を探す」って回で、主人公が火星に行くんです。するとそこでは、赤い砂漠に「青い夕日」が沈む。実際に火星探査機が撮影した写真ものっているんですけど、本当に真っ青!

大田:地球の青い海、赤い夕日とは真逆?

村木:そう。その光景にもう…心震えたんです。

そこからいろいろ調べて、火星は約95%が二酸化炭素で覆われているってことを知って。だったら人が住めるようにするために、二酸化炭素を集めてどうにかしよう、って考え始めたのが、僕の研究の始まりです。

大田:それが、5年前の「ひやっしー」の発明につながるわけですね。

村木:そうなんです。ボタンひとつで誰でも空気中から二酸化炭素を吸い取れる、“二酸化炭素の掃除機”みたいなマシンを開発しました。

大田:でも、それを17歳で発明するなんて…。その原動力は、なんなんですか? 

村木:大変なことも、もちろんありますよ。始めたばかりのころは、研究を理解してもらえなくて、批判もされましたし。

でも…二酸化炭素のことを考えてると、楽しくてニヤニヤしちゃうんです、僕。研究というか、もう、ただの趣味です。

大田:趣味なんだから、他人に口出しさせないぞ、と。

村木:そういうことです(笑)。

「ここは、僕が代表を務める『CRRA(シーラ)』東京りんかい研究センター、通称“お台場ラボ”です」
ここが本社兼実験所で、ほかにもふたつの拠点があるとか。
「2020年の会社設立からまだ2年ほどですが、社員は19名まで増えました。25年に1万人、30年には10万人。JAXAを超えるような集団を目指してます!」

CRRAで行っている主な研究は以下の3つだ。

1.地球温暖化の原因となる二酸化炭素を、空気中から直接吸い取る研究

2.二酸化炭素から、石油の代わりになるような燃料をつくる研究

3.人類が火星に移住するための研究

ふとデスクの上を見ると、何やらびっしり書き込まれたノートが。
「アイデアを書き留めるのは、いつも手書きなんです」
しかも、色にこだわりがあるそう。
「赤ペンを使って〇×をつけると、×をもらったときに『間違いはよくないことだ』って脳に認識されてしまう、って何かの文献で読んで。青だとそうならないみたいなんですよね。それからずっと青のゲルインキ、0.5mmを愛用しています」

思い立った時に実験ができるようにと、自席の目の前には実験スペースが設けられています。
「化学者は、大きく実験化学者と理論化学者にわかれるんですけど、僕は圧倒的に実験化学者。理論を突き詰めていくよりも、偶然から生まれる新しい発見が好きなんです」

成層圏へ
有人飛行を計画中。
相棒はクマのなぎくん!

「このクマちゃんは、町川凪空(まちかわ・なぎく)っていいます。僕の『村木風海』って名前の、それぞれ反対の意味の漢字をつなげて、研究員のみんながそう名付けてくれました。普段は『なぎくん』って呼ばれてます」
じつは今年、なぎくんに重大任務があるそうで…
「成層圏に向けて打ち上げる無人試験機に、なぎくんが乗り込む予定なんです」

その後、なんと実際に村木さん自身が乗り込んで、成層圏まで到達する計画なんだとか。
「なんでも自分でやってみないと気が済まないタイプ。最初の被験者は、いっつも自分です(笑)」

2025年には、CRRAで二酸化炭素から作った燃料で飛ぶ小型飛行機の航空会社を就航させたいという村木さん。仮眠室のベッドの下には、操縦訓練のためのフライトシミュレーターまで!
「このソフトには、世界の建物がすべて収録されていて。天気は、リアルタイムのものが表示されるんですよ」
そう話しながら、この日は茨城県・大利根飛行場をチョイス。流暢な英語で離陸確認を進めると、快晴の空へと飛び立っていきました。

PROFILE

村木風海

むらき・かずみ/化学者、発明家、冒険家、社会起業家。一般社団法人 炭素回収技術研究機構(CRRA)代表理事・機構長。2000年生まれ。東京大学工学部化学生命工学科3年生。「世界を変える30歳未満の日本人30人」として、「Forbes Japan 30 UNDER 30 2019 サイエンス部門」受賞。