Brand-newBlenders こうして未来は、できていく

Brandnew Talk vol.1 Side B

中国電力

大田祐二

最先端の技術を駆使した火力発電を実験中。大崎クールジェンでこれからのエネルギートーク。

Interviewer_Muraki Kazumi

火力発電が、エコになる? 瀬戸内海に現れた実験施設 「大崎クールジェン」に 化学者・村木風海さんが迫る。

快晴の空のもと、フェリーは進む。現役東大生の化学者・村木風海さんは、瀬戸内海に浮かぶ広島県・大崎上島を目指していた。「すごい施設があるってことは知っていたんです。でも、まさか実際に訪問できるとは…」。その施設とは、「大崎クールジェン」。最先端の技術を使った、これまでにないエコな火力発電の実験設備だという。火力発電で、エコ? 聞きたいことはたくさんあるけど、「大崎上島が見えてきましたよ!」村木さんの興奮はマックス状態。ひとまず、現地に向かいましょう。

村木風海さん(以降村木):うわー、目の前で見るとすごい迫力! 「大崎クールジェン」って、一体どんな施設なんですか?

ご案内いただくのは、大田祐二さん。この道11年、若き電気のプロフェッショナルです。

大崎クールジェン・大田祐二さん(以降大田):従来の火力発電では、石炭を燃やした熱で水を蒸気にして、その蒸気でタービンを回すことで発電していました。

大崎クールジェンでは、ガス火炉で石炭を蒸し焼きにして、石炭から直接燃料ガスを取り出す。そのガスを燃焼させることによって、ガスタービンを回して発電するんです。

まずはこれが、プロジェクトの第一段階。

村木:第一段階? ってことは、まだその先があると?

大田:第二段階は、石炭ガス化ガスの二酸化炭素を、分離回収するという実証試験です。

村木:二酸化炭素の回収! 僕が発明した二酸化炭素お掃除マシン「ひやっしー」にも通じる取り組みじゃないですか?

大田:絶対食いついてくれると思っていました(笑)。この設備がそれです。ぜひのぞいてみてください。下の方は空洞で、二酸化炭素分離用の設備は上のほうに。

村木:ほんとだ。ちょっと浮いた感じで固定されてる。わーわー…。

大田:で、まさにこれから実証実験が始まるのが、最終の第三段階。燃料電池を組み合わせた発電方法です。

石炭をガス化した燃料ガスは第二段階で二酸化炭素を分離回収した後、「水素リッチガス」というものになるんです。これを使って、燃料電池発電をするんです。

村木:…ってことは、3種類の発電方法によって発電効率がめちゃくちゃ上がるし、その過程で出る二酸化炭素はきっちり回収。さらに、水素も有効活用しちゃおう、ってことですか?

大田:その通り! 未来の実用化に向けて、なかなかすごい実験をしている場所なんです。

大田さんの専門は、燃料電池。大崎クールジェンプロジェクト第三段階の根幹にかかわる重要なお仕事です。
「最近ようやく、燃料電池の設置工事が完了。計画段階からずっと携わってきましたけど、実際に目の前で見ると…大きいなって(笑)。改めて驚いちゃいました」
現在は、ファンやポンプなどが正常に動くか確認するために、試運転をおこなっているそう。

「いまは、ここ大崎上島にある社宅に住んでいて。自転車で通勤しています」
と、話しながら見せてくれたのは、本格的なロードバイク。「会社までは、ほんの5分くらいで着きますよ。仕事終わりに気晴らしにサイクリングすることもあります」と大田さんは海のきれいなこの街を満喫中。

ひとつ前の勤務地は、山口県の火力発電所だったという大田さん。大崎クールジェンでの任務を完了したら、再び通常稼働している火力発電所に戻って、ここで学んだ最先端の知見を生かしたいと話します。
「環境問題の観点から、いま石炭って、かなり悪者扱いされちゃってると思うんです。でも、石炭はもう使わない!ではなくて、どうやったらそれを環境にやさしく、有効に使っていけるかを考える。その発想こそが、すごくたいせつだと思うんですよね」

テレビで見ていた村木さん。
実際会ってみると
チャーミングな方でした。

村木さんとの対談にあたっては、「村木風海さん…テレビで見たことのある、あの人だ…」と、緊張が止まらなかったという大田さん。でも、始まってみればすばらしいインタビュアーぶり!

対談冒頭では、「これ、聞いてみたいと思っていたんです」と、村木さんの「風海」というお名前の由来について質問。「風のようにさわやかで、海のように心が広い人になるように」というご両親の思いから名付けられたと聞いて、「印象に残るからうらやましいなぁ」と、ひと言。

「最後に、ひとつお願い、いいですか?」と言って、大田さんが取り出した一冊の本。2021年に村木さんが出版された『火星に住むつもりです ~二酸化炭素が地球を救う』(光文社)です。そう、村木さんにサインのお願い! 大田さんからの申し出に、村木さんもうれしそう。お名前の横に、ていねいにメッセージを添えていました。

PROFILE

大田祐二

おおた・ゆうじ/中国電力社員。現在は大崎クールジェン 技術部建設グループ所属。第三段階実証試験計画において、燃料電池設備の建設工事や試運転などに従事。山口県出身。現在は大崎クールジェンのある大崎上島での瀬戸内海ライフを満喫中。毎日のエネルギー源は「家族」だという入社11年目の31歳。