島根原子力発電所の安全性<6> 緊急時対応訓練の実施

  島根原子力発電所では,福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえて地震・津波といった自然災害や火災など様々な要因により発生する発電所の事故(原子炉を「止める」,燃料を「冷やす」,放射性物質を「閉じ込める」といった重要な機能が喪失する事象等)を想定した「緊急時対応訓練」を繰り返し行うとともに,緊急時対策要員に対する教育を計画的に実施し,緊急時対応能力の維持・向上に努めています。

総合訓練

  発電所では,「原子炉や燃料プールへの代替注水訓練」や「通報・連絡訓練」など,緊急時の活動ごとに対応手順の確認,習熟を目的とした個別訓練を繰り返し実施しています。これら複数の個別訓練を同時に実施し,発電所の緊急時対策本部※1から現場への指揮命令や,本社等の関係各所との連携を確認することを目的とした『総合訓練』を計画的に実施しています。

総合訓練 イメージ

個別訓練

  発電所では,全交流電源喪失や原子炉および燃料プールへの注水機能喪失といった事象が発生した場合においても,重大事故(燃料が損傷し放射性物質が放出される事象)に至らせないよう,様々な個別訓練を実施しています。また,万一の重大事故発生等に対応するための個別訓練も実施しています。

全交流電源喪失時の構内受電訓練

  全交流電源が喪失した場合に備え,高圧発電機車などを用いた構内への電源供給訓練を実施しています。

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原子炉および燃料プールへの送水車による代替注水訓練

  原子炉および燃料プールへの注水機能が喪失した場合に備えて,送水車等を用いた注水訓練を実施しています。

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原子炉補機海水ポンプ用電動機取替訓練

  原子炉補機海水ポンプ※3用電動機の機能が喪失した場合に備え,予備電動機への取替訓練を実施しています。

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可搬式ディーゼル駆動ポンプによる原子炉補機海水系への代替送水訓練

  原子炉補機海水ポンプ※3の機能が喪失した場合に備え,可搬式のディーゼル駆動ポンプによる代替送水訓練を実施しています。

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主蒸気逃がし安全弁駆動用バックアップ用窒素ガスボンベ接続訓練

  主蒸気逃がし安全弁※5の駆動源が喪失した場合に備えて,バックアップ用の窒素ガスボンベへの切り替え訓練を実施しています。

主蒸気逃がし安全弁駆動用バックアップ用窒素ガスボンベ接続訓練 イメージ

蓄電池設備による主蒸気逃がし安全弁開放操作訓練

  中央制御室※6から主蒸気逃がし安全弁※5の作動信号を送るための電源が使用出来なくなった場合に備え,蓄電池によって作動信号を送るための電源を確保し,主蒸気逃がし安全弁の操作が行えるよう訓練を実施しています。

アクセスルートの確保訓練

  大規模地震や津波等により,復旧活動に必要なアクセスルート上にがれき等が散乱した場合でも,屋外における復旧活動が迅速に行えるよう,ホイールローダによるがれき等を撤去する訓練を実施しています。

アクセスルートの確保訓練 イメージ

運転員の事故時等対応訓練

  中央制御室※6において地震や津波,全交流電源喪失といった様々な事象に対応するため,シミュレータ装置による訓練を実施しています。

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電源喪失時の重要パラメータ監視計器復旧訓練

  原子炉,原子炉格納容器,燃料プールの水位・水温・圧力等を監視する重要な計器の電源が喪失し監視不能になった場合に備え,可搬型バッテリー等を使用した監視計器の復旧訓練を実施しています。

復旧訓練

  原子炉や燃料プールへの注水・冷却機能に関わる機器の機能が喪失または低下した場合,早急に原因を特定し機器の復旧が行えるよう,現場の警報表示や機器の状態などの限られた情報を基に故障箇所を特定する訓練を実施しています。

アクシデントマネジメント訓練

  重大事故に至る可能性のある場合において原子炉および燃料プールに関するデータから,事象(原子炉・燃料プールの水位,温度等)の進展予測を行い対応策について検討する訓練を実施しています。

通報・連絡訓練

  発電所の状況について社内外へ迅速かつ的確に伝えることができるよう,国や関係機関への電話連絡やFAXの送信などの通報・連絡訓練を実施しています。

通報・連絡訓練 イメージ

要員招集訓練

  社内通信システムを用いて,夜間・休日を問わず,緊急時対策活動に必要な要員が招集可能であることを確認する訓練を実施しています。

緊急被ばく医療訓練

  管理区域※7で発生した傷病者の搬送,発電所構内での応急処置,除染,汚染の拡大防止措置を行い,汚染や被ばくの程度に応じた医療機関への搬送訓練を実施しています。

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緊急時モニタリング訓練

  発電所敷地境界の放射線量を測定するモニタリングポストが使用不能となった場合などに備え,可搬式モニタリングポストの設置や,モニタリングカーによる測定訓練を実施しています。

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避難誘導訓練

  発電所への来所者や復旧活動に従事しない社員等を,構外の避難場所へ誘導する訓練を実施しています。

原子力緊急事態支援組織対応訓練

  原子力災害が発生した場合に備え,原子力緊急事態支援センター※8と連携し,復旧活動に使用するロボット等の受取り対応およびロボットの操作訓練を実施しています。

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指揮命令訓練

  緊急時対策本部※1におけるプラント状況の把握・事象の進展予測・意思決定を行い,現場等への指揮命令の訓練を実施しています。

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※1 緊急時対策本部: 原子力緊急事態(発電所の重要な機能が喪失する事象等)が発生した場合に緊時対策活動を行うために発電所に設置する組織。
※2 後方支援拠点: 原子力災害対応の支援拠点として発電所周辺地域に設置し,警察・自衛隊・復旧作業員などの放射線管理および復旧資機材の受け入れ等の支援を行います。
※3 原子炉補機海水ポンプ: 原子炉関係の機器を冷やす冷却水(淡水)の温度を下げる熱交換器へ海水を供給するポンプ。
※4 原子炉格納容器ベント: 原子炉格納容器内の圧力上昇時に格納容器の破損を防止するため,容器内の圧力を降下させる操作。なお,原子炉格納容器内の蒸気を外部へ放出する際,フィルターを通すことにより放射性物質を大幅に低減します。
※5 主蒸気逃がし安全弁: 原子炉の圧力を調整するために設けられた弁。
※6 中央制御室: 24時間体制で発電所全体の運転状態の監視・運転操作(プラントの起動・停止,事故対応操作等)を行う場所。
※7 管理区域: 発電所内で作業員が放射線を受けたり放射性物質で汚染される可能性がある区域。
理区域を退出する際は管理区域内で受けた線量の確認や身体に放射性物質が付着していないことを確認しています。
※8 原子力緊急事態支援センター:
(所在地:福井県敦賀市)
原子力災害時の支援に必要となる遠隔操作ロボット等の資機材の管理・運用,発災事業所に対するこれら資機材の輸送などを行う組織。
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