使用済燃料中間貯蔵施設

 当社は、山口県上関町大字長島の当社所有地内において、原子力発電所で使用した燃料(使用済燃料)を一時的に保管する、中間貯蔵施設の設置に係る検討を進めることとし、立地可能性を確認するとともに計画の検討に必要なデータを取得するための調査を実施します。
 なお、中間貯蔵施設の設置は、上関町の地域振興や島根原⼦⼒発電所の安定稼働に資することに加え、原⼦⼒事業者の連携による貯蔵能⼒の拡⼤計画の実現に向けた取り組みの強化という我が国のエネルギー政策にも合致し、ひいては、電⼒の安定供給にも寄与する取り組みであると考えています。

動画「『使用済燃料中間貯蔵施設』の概要」(9分50秒)

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中間貯蔵施設の必要性

  • 原子力発電所で使⽤した燃料(使用済燃料)は、95~97%再利⽤可能であり、資源の乏しい日本においては、再処理して有効利⽤する原⼦燃料サイクルの推進を基本⽅針としています。
  • 使用済燃料を再処理することで、資源として再び利⽤できるほか、廃棄物の体積や処分施設の面積を大幅に減らすことができます。
  • 再処理⼯場は、⻘森県六ヶ所村に建設中で、現在、最終的な安全機能や機器設備の性能を確認しています。
  • 原⼦⼒発電所では、使⽤済燃料を再処理⼯場に搬出するまでの間は、発電所内の燃料プールの中で保管していますが、万⼀、プールが満杯になれば保管できなくなり、発電所を運転できなくなります。
  • 使用済燃料を再処理⼯場へ搬出するまでの間、⼀時的に保管できる中間貯蔵施設を設置することで、将来にわたって安定的に発電所を運転することができるようになります。
  • 国においては、使用済燃料の貯蔵対策として、発電所敷地の内外を問わず新たな地点の可能性の幅広い検討を開始し、電気事業者の積極的な取組みや、事業者間の共同・連携による事業推進の必要性が示されています。
  • 電気事業者としても、事業者全体で使⽤済燃料の貯蔵能⼒の拡大に向けた検討を進めています。

出典:電気事業連合会「使用済燃料貯蔵対策の取り組み」

中間貯蔵施設の概要

  • 中間貯蔵施設は、原⼦⼒発電所で使⽤した燃料(使用済燃料)を⾦属キャスクと呼ばれる頑丈な専⽤容器に⼊れて、再処理⼯場へ搬出するまでの間、安全に保管する施設です。

出典:日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集」

  • 水や電気を使わず、外気による⾃然空冷により使用済燃料から発⽣する熱を除去するため、設備⾃体は⾮常にシンプルです。
  • 施設内では、使用済燃料を取り出したり⼊れ替えたりすることもなく、建物内に置いて保管する形になります。

調査・検討に至った経緯等

  • 上関原子力発電所の建設に時間を要する中、2023年2月、上関町長から、まちづくりのための財源確保につながる新たな地域振興策を喫緊の課題として検討するようご要請をいただきました。
  • このご要請を真摯に受け止め、鋭意検討を⾏った結果、島根原⼦⼒発電所の安定稼働に資する使用済燃料対策の一環として、また、上関町の地域振興に向けた新たな選択肢の一つになりうる取り組みとして、上関町⼤字⻑島の当社所有地内への中間貯蔵施設の設置に係る検討を進めることとし、同年8月2日、上関町⻑へご回答しました。
  • それに対して、同年8月18日、上関町長から、本調査・検討を受け入れる旨のご連絡をいただきました。
  • 具体的な計画は、調査・検討結果を踏まえて策定します。

調査の概要

文献調査

気温、湿度、降水量などの気象関係や、過去に巨大地震や津波が起こったことがあるかどうか、文献からデータ収集を行います。(2023年8月から実施中)

ボーリングによる地質調査

ボーリング調査では、地中から円柱状の試料を採取し、これを観察することにより、地質・地質構造を把握します。これにより、施設が安全に立地できる場所かどうかを確認します。(2024年4月から実施中)

○ボーリング調査に伴う環境保全対策
ボーリング調査に伴う環境保全対策として、掘削に使用する水は循環使用とし、残った掘削水は産業廃棄物として処分します。また、ボーリング作業者は、発電所計画地点周辺で確認された貴重な動植物等の概要と注意事項を掲載した「貴重種ハンドブック」を携帯し、ボーリング調査中に貴重な動植物を確認した場合は適切な措置を講じることとしています。

地表地質踏査

地表における地質を観察することで、施設を設置する場所周辺の地層の分布や地質構造等を把握します。(実施準備中)

よくあるご質問

使用済燃料は「核のゴミ」ではないの?

 原⼦⼒発電所で使用した燃料(使用済燃料)には、まだ使えるウランなどが95%〜97%も残っており、再処理(リサイクル)すれば、原⼦⼒発電所でもう一度燃料として利用できます。
 したがって、使用済燃料は、捨てるしかない「ゴミ」ではなく、資源の少ないわが国において、リサイクル利用することが可能な貴重な資源と位置付けられています。

使用済燃料は危険?放射線は出さないの?

 使用済燃料を、原⼦⼒発電所内の燃料プールで保管・冷却し、放射線量や発生熱量が下がったものを、「キャスク」といわれる頑丈な⾦属の容器に入れて密閉します。
 こうして放射線を遮へいすることにより、キャスクの表面に触れられるほど近づいても、全く問題ないくらいまで放射線量は低くなります。

いわゆる最終処分場(高レベル放射性廃棄物の処分施設)とは何が違うの?

 中間貯蔵施設は、使用済燃料を再処理施設に送るまで、一定の期間、安全に保管するための施設です。したがって、一定の保管期間を経たら、使用済燃料は再処理施設へ運び出されます。
 一方、いわゆる「最終処分場」とは、使用済燃料を再処理施設でリサイクルする際に発生した「高レベル放射性廃棄物」を、地下深くに埋めて最終的に処分する施設のことで、中間貯蔵施設とは、保管する物も、施設も、期間も全く違います。

再処理施設も稼働していないし、最終処分場も候補地が決まっていない状況では、中間貯蔵施設にいつまでも貯蔵しておくことになるのでは?

 ⻘森県六ヶ所村にある再処理施設は、現在、建設工事が⾏われており、2024年度の上期に、しゅん工する⾒通しです。
 また、高レベル放射性廃棄物処分施設は、国が候補地を選定する段階であり、その最初のステップとして、北海道寿都町、神恵内村において、文献調査を実施しています。国では、ほかにも多くの地域で文献調査を受け入れてもらうよう取り組んでいるところです。
 今回の調査を経て、今後、上関町が中間貯蔵施設の建設を受け入れていただくことになれば、保管期間をご相談することになります。
 なお、⻘森県むつ市の中間貯蔵施設では、保管期間が50年間と決められています。