プルサーマル
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Q.プルサーマルのメリットは何ですか
A.燃料のウランを海外からの輸入に依存する日本において,一度使った燃料の一部をリサイクルすることは,エネルギーの安定供給に繋がります。また,高レベル放射性廃棄物の量や有害度の低減にもつながります。さらに,余分なプルトニウムを持たないとする国際公約を果たすためにも,原子燃料として平和利用していくことが求められています。
【メリット】
- 資源の有効利用が可能
- 使用済み燃料を直接処分する場合と比べて,高レベル放射性廃棄物の量(体積)が約4分の1に減少する。
- 高レベル放射性廃棄物の有害度が天然ウラン並みになるまでの期間について,直接処分の場合は約10万年であることに対し,再処理した場合は約8千年まで短くなる。
詳細については,「原子燃料サイクルとプルトニウム利用(プルサーマル)」をご覧ください。
Q.海外では原子力発電の使用済燃料を廃棄処分する国があるのに,なぜ日本はリサイクルするのですか
A.エネルギー政策は,それぞれの国のエネルギー事情に基づいて決められたものです。エネルギー資源の乏しい我が国において,ウラン資源の有効利用等ができるプルサーマルは,原子力開発の初期段階から一貫して国の方針として位置付けられています。なお,プルサーマルに取り組むのは日本だけではなく,フランスなどの海外の原子力発電所でも,1960年代から開始され,豊富な実績があります。
Q.プルサーマルを実施しても原子炉を安全に制御できますか
A.プルトニウムは,ウランに比べて中性子を吸収しやすい性質があることから,制御棒に吸収される中性子の数が減少し,制御棒の効きがわずかに低下する場合があります。しかし,制御棒の性能は余裕を持った設計をしているため,ウラン燃料のみを使用した場合と同じように,十分な余裕を持って原子炉を停止・制御することができます。
Q.プルサーマルを実施すると燃料が壊れたりすることはありませんか
A.MOX燃料については,核分裂生成ガスの放出率が若干高くなるとのデータもあることから,燃料棒内の空間(ガス溜め)の体積をウラン燃料棒より増加させた設計とすることで,燃料取出しの時の燃料棒内圧がウラン燃料棒と同等になるようにしています。
MOXペレットの融点(溶け出す温度)は,ウランペレットの融点(約2,800℃)よりわずかながら低下しますが,その差は数十℃に過ぎません。
また,熱伝導度(熱の伝わりやすさ)の低下もわずかであり,これを考慮して評価した実際のペレット中心温度は千数百℃程度であり,融点に対して十分な余裕があることから,MOX燃料が溶けることはありません。
Q.核兵器の材料となるプルトニウムを使って大丈夫ですか
A.核兵器に使われるプルトニウムとは純度が違います。核兵器には,核分裂しやすいプルトニウムが100%に近い(純度が高い)ものが一定量必要とされています。しかし,MOX燃料のプルトニウムは純度が低いため,MOX燃料から核兵器を作るのは困難です。使用済MOX燃料では,純度がさらに低くなるので,核兵器を作るのはもっと難しくなります。また発電所ではIAEA(国際原子力機関)の査察を受け,燃料が不正に取り出されることがないよう厳しく管理しています。