PETは,10mm前後のがんを発見することができ,その悪性度・進展度の診断と同時に原発巣・転移部位などが一度で検索できる有効な検査といえます。
通常の人間ドックの検査と比較しても,PETのがん検出率は約20倍といわれています。
※ただし,がんの種類・分化度によっては数cmでも陽性にならない場合もあります。
※早期の肺がん,胃がん,泌尿器系がん,肝細胞がんなどは,CT,内視鏡や超音波検査との併用を推奨します。
がん細胞は通常細胞に比べて,約3~8倍(多い場合は20倍近く)のブドウ糖を摂取する性質を持っています。
PET検査はこの性質を利用して,ブドウ糖を標識して製剤した検査薬を投与し,その反応を特殊なカメラで画像化して病気の部位や状態を的確に判断する新しい検査方法です。
検査による痛みや不快感が少ないのが特長で,着衣のままで受診することが可能です。
CTは部分的に体内の腫瘍の「部位・形・大きさ」を見る検査装置であるのに対し,PETは「代謝の状態」を見る検査で,それぞれの利点を合わせることで,より正確に診断することが可能です。
がんの部位,大きさ,進展度,悪性度の診断と転移の発見など,正確な病期判断ができれば適切な治療方針の選択が可能になります。結果,医療費の負担軽減にもつながります。
PETの画像によって,良性・悪性の識別ができるケースが多くあります。(※最終判定には組織採取検査が必要な場合もあります)
また,一度で全身の検査ができるので,リンパ節や離れた部位への転移の発見に役に立ちます。
手術後の再発の発見や化学療法の治療の効果確認にも有効です。
早期がんの発見 | 簡便な治療で,高い治ゆ率早期がんの発見により,体に負担の少ない手術による高い治ゆ率が期待できます。そして,治療後の生活への影響や,治療のための時間も少なくてすみます。 |
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がんの治療前 | 病期診断,病巣診断で適切な治療計画病巣の部位・進展度・転移を把握することで進行度を的確に判断でき(病期診断),適切な手術の術式・工程(クリニカル・パス)を組んだり,段階にあわせた治療計画が策定できます。 |
がんの治療中 | 治療効果を診断し,現在行っている治療の適否の判断現行の治療方法の効果を視覚的に判定。放射線治療や化学療法などによる,治療法が適しているか否かを判断できます。 |
がんの治療後 | 再発や転移が発見でき,早期の治療が可能全身診断のため,他部位への転移も同時に発見することができます。また,治療後の再発をより早く判定し,早期治療につなげることができます。 |