(開院日 8時30分~17時)
臨床検査は患者さまから採取された血液や尿などの成分を調べる検体検査と,心電図や超音波画像撮影など患者さまの体を直接調べる生理検査に大きく分けられます。その結果の活用の分野は幅広く,疾病の早期発見,診断の推定,疾病の程度の判断,それに基づく適切な治療及び治療効果の判定など,病院医療で必要不可欠となっています。
当検査科では,夜間や休日を含め,いつでも精度の高い検査結果や情報を提供できる検査体制を取り,チーム医療の一員として積極的に取り組んでいます。また,当検査科では検査依頼と結果報告をコンピューターで行なう検査オーダリングシステムを採用して,検査材料の取り違え防止や検査結果の正確性・迅速性の向上を図っています。そして,医療が日々進歩していくなかで,専門性を生かした患者様に役立つ臨床検査を目指しています。
中電病院臨床検査科は,大きく分けて8部門から構成されています。
生化学検査は血液や尿など,体内から取り出した液体を用い,それに含まれる化学的成分を分析する検査です。これらの成分には病気の有無や進行の程度によって,性質や量が変化するものがあり,それを調べることによって病気の診断をしたり,病状を推定したりします。
当検査科では主に,肝機能検査で AST ALT LDHなど,腎機能検査でBUN クレアチニンなど,脂質検査で皆様が気になるコレステロ-ル 中性脂肪など,その他,様々なミネラル成分を測定しています。
ヒトの体は外界から侵入した物質(抗原)を認識すると,それを攻撃する物質(抗体)をつくります。抗原と抗体は結び付く性質をもっていて,それを利用することによって,血液中の微量成分を測定するのが免疫検査です。
この部門では,感染症の抗原抗体や自分自身を攻撃してしまう自己抗体(膠原病など),ホルモンの測定をしています。また,がん細胞がつくる,もしくはがん細胞に反応してつくられる腫瘍マーカーを測定して,がんの早期発見・治療に貢献しています。
当院では,血液製剤の発注から保存,検査,副作用の把握まで,検査科で一元化された管理体制をとっています。また,輸血療法委員会を定期的に開催して,院内全体の連携を図り,より安全で適正な輸血療法を推進しています。
検査内容としては,ABO・Rh式血液型や,輸血用血液と患者さまの血液の反応性を確認する交差適合試験などの輸血前検査,Rh(-)のお母さんの妊娠・出産などにもかかわる不規則抗体検査を行っています。
一般検査は,主に尿,便を検査します。尿は一見透明のように見えても,実際は細菌や細胞など,さまざまな固形成分も含まれています。尿に含まれる成分は,腎臓で尿が作られてから排出されるまでの,尿の通り道にある異常や病気にとても敏感に影響します。これらの量的変化や異常成分を調べる事により,腎疾患や尿路疾患,膀胱の健康状態を知る事ができます。
便検査は,潜血の有無を調べます。便潜血の有無は大腸がんの早期発見のための重要な検査の1つとなっています。
血液検査は患者さまから採血した血液に含まれる赤血球・白血球・血小板など,各種細胞の数や種類を調べる検査です。
血液細胞は病気や健康状態によって変化するので,血液検査で患者様の体の状態を知ることができます。また,胸骨や腸骨の骨髄から採取した液で貧血や白血病などの病気の詳しい状態を知る,骨髄検査も行っています。
凝固検査は切り傷から出た血が止まる役割をするような血液の固まる能力を見る検査です。血液の凝固に関係する血小板や血漿成分を調べ,出血や塞栓症などの治療に役立てます。
微生物検査は患者さまの尿,便,血液,喀痰等から病原菌を検出し,その菌に有効な薬剤(抗菌薬 )を調べます。また,新生児室や手術室,食養科(食中毒防止の為)の環境検査も行っています。各種耐性菌に関する検査・情報発信など,院内感染防止の一端を担っています。
生理検査とは患者さまの生体情報を電気的,物理的にとらえて記録する検査です。生理検査室では心電図,肺機能,超音波検査などを行っています。
心電図からは心筋梗塞・不整脈・狭心症等が分かります。超音波検査は超音波を当てその反射を画像として描きます。腹部では肝臓・胆嚢・腎臓・膵臓・脾臓等を,また心臓超音波では心臓の動きを見ることができます。その他に乳腺や甲状腺の検査も行っています。
病理検査とは,患者さまから採取された臓器や細胞から顕微鏡標本を作製し,病気の診断をする検査です。
病理検査は,大きく分けて「病理組織検査」,「細胞診検査」,「病理解剖」の3つに区分されます。
内視鏡検査で採取した小さな組織や,手術により摘出した臓器を 診断する検査です。臨床検査技師は,組織・臓器の標本を作製し, 病理医は,その標本により病巣の有無や広がりなどの診断を行います。
子宮頸部・喀痰・尿・腹水などから得られた細胞や,乳腺・甲状腺など腫瘤を針で穿刺して採取した細胞を診断をする検査です。細胞検査士資格を有する臨床検査技師は,細胞が悪性か良性かを見分け,細胞診専門医が最終診断を行います。
死因の解明などを目的として,必要に応じて解剖を行うことを言います。
当検査科では,休日・夜間の緊急外来患者,入院患者の急変にPHSによる呼び出しで24時間対応できるよう待機しています。
検査機器は,特に操作性に優れたものを使っています。また,各検査に熟練した技師の主導で,勉強会を開催し,迅速に有用な検査データを報告できるよう日々努力を続けています。
臨床検査科の入り口にある採血室では,耳朶に傷をつけて血が止まるまでの時間を調べる検査を行なっています。その他,新生児の先天性代謝異常スクリーニング検査などの採血を検査技師が行っています。患者さまに安心して検査を受けていただけるように,患者さまの立場に立った対応,清潔感のある部屋作りを心がけています。