第34回 自治体説明会

《開催日》2021年5月18日(火)14時00分~16時10分
《出席者》島根県,松江市,出雲市,安来市,雲南市,鳥取県,米子市,境港市

前回の説明会(2020年11月9日)以降に開催された計9回の審査会合の概要等についてご説明しました。

〇ご説明資料

審査会合に関するご説明資料については,以下のリンク先に掲載している「新規制基準適合性に係る審査の実施状況一覧(時系列)」の中の該当の審査会合欄をご覧ください。(審査資料を掲載している原子力規制委員会HPへのリンクを設定しています)。使用した資料は,審査資料を一部抜粋して作成しています。

アドレス:https://www.energia.co.jp/judging/itiran.html

<プラントおよび火山影響評価に関する項目>

○対象となる審査会合

11月27日(173回目),12月1日(174回目),12月15日(175回目),1月19日(176回目),2月18日(179回目),3月9日(180回目)

○主なご説明内容

土石流発生時の対応判断基準,ブローアウトパネル閉止装置の閉止判断基準,技術的能力に関する対応,火山による降下火砕物の影響評価などについてご説明。

○自治体からの主なご質問

  • 原子力関連組織図の中での原子炉主任技術者の位置付けはどうなっているか。例えば,2号機の原子炉主任技術者は,いつの時点から選任されるのか。

    ⇒原子炉主任技術者は,電源事業本部 原子力管理の所属となっており,現在は本社の担当部長が務めている。この位置付けは将来,再稼働後も変わらない。

  • 2号機専門の原子炉主任技術者はすでに配置されているのか。それとも,保安規定が認可された後に配置されるのか。

    ⇒現在,原子炉主任技術者は2,3号機兼任となっているが,再稼働以降は2号機の専任となる。

  • ボイラー・タービン主任技術者や電気主任技術者については,従前から配置に変更ないか。

    ⇒従前と変わりない。

  • ブローアウトパネル閉止装置とは具体的にはどういったものか。

    ⇒2017年12月に施行された,新たな規制要求による項目であり,この対応により補正申請を行ったもの。ダクトに弁のような機能を持ったもので,気密ダンパと呼んでおり,このような装置を取り付ける計画である。ブローアウトパネル本体のパネルは単なる板であり,再度閉止するのは非常に難しいことから閉止装置をブローアウトパネルの内側に取り付ける。閉止装置は通常開放されており,必要な場合は電動の駆動装置で閉止する。

  • 電動駆動装置で閉止すると説明があったが,人力での操作は出来ないのか。

    ⇒人力で操作できるような装置も付いている。

  • 重大事故発生時にも人力で操作は可能か。

    ⇒炉心損傷をしていない場合も想定し,手動で閉止することが出来る機構を取り付けている。

  • 重大事故発生時において,海を水源とした原子炉等の注水のための海水注水切替等について,雨量でなく,土石流発生で判断することとなっているが,作業員が土石流に巻き込まれる危険性はないか。豪雨となり土石流の危険性が高まった際に,どういった指標で退避するのか。

    ⇒構内の雨量計により通常時から計測しており,1時間雨量が60mmを超えた場合,警戒体制を構築し,発電所施設の監視を強化する。当然,現場を含めて対応しており,作業に係る緊急時対策要員は現地にいる。降雨の状況等を監視しつつ,ある程度降雨量が多くなるようであれば,事前に土石流危険区域より離れた場所から海水注水切替等の準備に対応するよう手順上で考えている。激しい雨量に係らず現場で待機して土石流に巻き込まれることがないように,現場の確認をしつつ対応していくことを考えている。ただし,最終的には監視カメラを用いて海水注水切替判断をすることを手順上考えている。

  • 土石流発生に備えた対応について,規制庁から基準が煩雑にならないようにと指摘があり,シンプルにしたものと思っている。注書きについて,防災気象情報などによる海水注水切替え等の事前準備の実施,並びに人的被害の予防の観点で,海水注水切替え等を決定・実施する場合がある。と記載しているが,判断基準に曖昧な点が残っているように見える。注書きの部分の運用は別に整理されているのか。

    ⇒これまでは何パターンかの雨量で判断基準を設定しており,それに対してあくまでシンプルにとご指摘をいただいたため,あくまでも現場の状況を見てということでカメラによる確認を判断基準とした。作業場所周辺の土石流危険区域①,②以外にも土石流危険区域がある場所が7箇所あるが,土石流危険区域①,②以外の場所で土石流が発生したとしても,作業場所に直接影響を及ぼすことはないため,まずは降雨の状況を見つつ,現場を確認して判断することが注書きの趣旨である。①,②以外の箇所で土石流が発生しても,すぐさま注水を切り替えるわけではないということを説明している。

  • いずれにしても現場が判断を迷わないようにするのが大切である。教育や訓練を続けていっていただきたい。

    ⇒承知した。

  • 三瓶山の敷地周辺の層厚で示している表に,「地質調査結果により参考扱いとする降灰厚さ」とあるが,なぜ参考扱いとしたのか。理由を詳細にご説明いただきたい。

    ⇒現地に赴き実際に調査を実施した。審査会合資料には調査結果を掲載しているが,近辺の層厚を見ても,文献の数字が突出して数値が大きいため,参考とした。

  • 突出して大きいとは,たまたま溜まりやすい地形であったためか。

    ⇒地形的な要因が大きなものと考えている。

  • 新規制基準が制定される前より設備の構成や手順が相当複雑になっていると思う。有効性評価等の机上検討では成立性が確認されていても,現場で実際に対応する方が設備の目的,手順をきちんと理解していないと混乱する恐れが残ると思う。審査の中で決まった手順や判断基準については,発電所とも情報共有し,現場との認識の齟齬や混乱が生じないようにしていただきたい。

    ⇒ご指摘はその通りだと考えている。発電所に,今回の新規制基準に係る審査の中で説明したこと,約束したこと,守らなければならないことについて,確実に教育,引継ぎを行うとともに,手順についても訓練を重ね,より安全なプラントにしていくと言う努力を引き続き行っていきたいと考えている。引き続きのご指導をよろしくお願いする。

<津波に関する項目>

○対象となる審査会合

12月1日(174回目),1月28日(177回目), 2月18日(179回目)

○主なご説明内容

沿岸および沖合で操業する漁船とその位置,施設護岸または輪谷湾に到達する漂流物などについてご説明。

○自治体からの主なご質問

  • 津波防護施設に対する漂流物衝突荷重について,「航行の不確かさ」というのはどういうイメージをすれば良いのか。漁船が発電所に意図せずに接近する可能性は否定できないという理解で良いのか。その点をもう少しご説明いただきたい。

    ⇒基本的にはご理解いただいているとおりである。発電所の500m以内から衝突した場合に荷重が大きくなるということで,それを中心に議論した。当社は,操業区域とそこで操業する漁船を調べたが,それだけでなく漁船が一時的に航行する場合もあり,それも考慮すべきとのご指摘を受けた。その結果,500m以内のところにどの漁船も通らないといったことは難しいので,周辺漁港の漁船が500m以内を航行する可能性があるということで考慮することとした。

  • 恵曇漁港等の漁船が外海に出るが,その時に発電所の近くを通る可能性が完全に否定できないという理解で良いか。

    ⇒漁港と操業エリアを結ぶルートを確認して,通常の航行ルートを示しているとおり確認している。19tの船は基本的に沖合で操業するので,発電所の前を通ることはないと考えているが,通常と違うエリアに行く時等の可能性が否定できないということで,保守的に不確かさを考慮したケースを考えることとした。

<地盤・斜面の安定性に関する項目>

○対象となる審査会合

1月29日(178回目),3月12日(181回目)

○主なご説明内容

耐震重要施設および常設重大事故等対処施設の基礎地盤および周辺斜面の安定性評価についてご説明。

<標準応答スペクトルの基準地震動への影響>

島根原子力発電所2号炉 標準応答スペクトルの基準地震動への影響について [PDF:152KB]

○主なご説明内容

標準応答スペクトルの基準地震動への影響についてご説明

<設置変更許可申請の補正概要>

島根原子力発電所2号炉 設置変更許可申請の補正概要 [PDF:3,873KB]

○主なご説明内容

基準地震動,基準津波,電源設備,技術的能力,有効性評価などご説明

○自治体からの主なご質問

  • 常設代替電源設備の変更について,ガスタービン発電機車4,000kVA:4台⇒ガスタービン発電機6,000kVA:1台となっているが,容量が16,000kVA⇒6,000kVAとなることから台数の考え方をご説明いただきたい。

    ⇒ガスタービン発電機は各号機1台と2号機,3号機の共用という位置付けで予備1台としている。6,000kVAということで容量が減ったように見えるが,必要な容量を積み上げており,その容量に十分足りるということを審査の中でもご説明をしている。必要な容量は4,400kVAということで余裕のある設備を設置していることである。

  • 宍道断層の評価長さが22km⇒39kmに延びた件であるが,延びた部分の西側,東側ともはっきり断層活動が認められないことが示されており,今後の説明の機会には,決して延びた部分に新たな断層活動が認められて39kmになったわけではないとしっかり説明いただきたい。

    ⇒我々も決してそういったことでなく,不確かさ等を考慮した上で保守的な評価を行っているということをしっかり丁寧に説明していきたいと考えている。

  • 先行プラントでは補正書の概要を審査会合で確認されているようだが,島根2号機においては,現時点でそのような会合の予定はあるのか。

    ⇒補正の概要の説明を会合で説明するというご指摘は現時点ではないが,我々としては審査を受ける立場であるので,要請があればいつでも説明できるような準備をしている。

  • 規制委員会や規制庁からは,発電所の安全対策や審査対応について中国電力へ主体性を求める声が度々出ていた。規制委員会からの要求に適切に対応するのはもちろんのことであるが,現場の状況を主体的かつ,積極的に確認して発電所の安全確保に万全を尽くしていただきたいと思っている。

    ⇒ご指摘の通り当社の審査に臨む姿勢に少し主体性に欠けるのではないか,物の言い回しとか考え方,そういうご指摘があり,報道などもされた。私どもそういう思いで対応しているわけではない。本日,補正書の内容をご説明した通り膨大な補正をした。言い換えれば,この間,当初の申請から非常にたくさん安全側に内容を見直して積み上がったものと思っている。その際の基本的な考え方は,常に最新知見を取り入れ,その最新知見の情報源は,先行プラントの審査や規制委員会・規制庁のご発言である。特に本日,ご説明した漂流船の取り扱いでも,かなり厳しいご指摘があった。当社としては,近くの漁港で操業されている19t船の漁業範囲から考えても,難破して湾内に入ってくるというようなことは確率的には非常に少ないとは考えていたが,しかし万々一こういうことを考えると,本日の説明の端々で不確かさという説明をしているが,こういったところの情報整理の幅に少し違いがあったのかと思っている。審査が一段落ついているが,常に会社の姿勢としては安全最優先であるので,もちろんご指摘には真摯に対応していく。また,自らアンテナを高くして,最新知見,他社との情報交換,今後もまだまだ規制の変化があるので,的確に対応していきたいと思う。特にこういった報道がなされると,島根県,鳥取県の皆様からもご心配の声が上がっていることを重々承知しているので,肝に銘じて今後対応していく。

(全体を通したご質問)

  • 斜面の安全率,地滑りの擁壁とかの安全率1.0について,他の安全率では1.2という値もあり,何か基準があって使われているのか。

    ⇒安全率に関しては,基礎地盤1.5,周辺斜面1.2ということで審査ガイドに記載されている。アクセスルートの斜面については,資料の中で1.0とご説明しているが,これは特に審査ガイドに記載されているものではなく,先行プラントで基準値を設けて審査を行っているものである。

  • 火山灰の件であるが,三瓶山については距離に応じた層厚評価と,大山については不確かさを考慮した仮想風での層厚評価となっており,評価のやり方が違うように思えるがご説明いただきたい。

    ⇒三瓶山については実績層厚を用いているが,大山については用いてないのではという趣旨のご質問と思う。三瓶山については最近の知見であるMaruyama et al.(2020)によると三瓶浮布火山灰が中国地方に広く分布していることから現在の風向きで実際に火山灰が発電所に降ってくるのではないかと実績層厚を用いている。大山については,中国地方に幅広く降るようなものではないが,過去大山松江火山灰が発電所付近に降っているため実績層厚で30cmと評価している。文献等を見ても幅広く降っているか,降っていないのかを踏まえ,三瓶と大山の評価については多少評価方法が違っているということである。

  • 本日の意見であるが,説明を受けてまだ審査中であることが良く分かったので,引き続き審査のほうに真摯に取り組んでいただきたいと思う。最初の審査の値から,例えば宍道断層が延びたとか,様々なことが次々に変わっているということは逆に言えば安全にしてもらっているかなという気もある一方で,最初からそういう数字が出なかったのかという意見もあるので,引き続き審査中であるが,審査については真摯に取り組んでいただきたい。

    ⇒承知した。

以上

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