レベニューキャップ制度概要

電気料金と託送料金の関係

■一般送配電事業者は、電気を発電事業者から受け取り、送配電ネットワークを通じて需要家にお届けしており、送配電ネットワークの利用料として「託送料金」をご負担いただいております。
■ 「託送料金」は需要家が支払う月々の電気料金に含まれており、小売事業者を通して、一般送配電事業者に支払われます。
■なお、「託送料金」は小売事業者に全額をご負担いただいておりましたが、2024年4月以降は、発電事業者にもその一部をご負担いただく「発電側課金」が導入されます。
■「発電側課金」は、系統を効率的に利用するとともに、再生可能エネルギーの導入拡大に向けた系統増強を効率的かつ確実に行うため、小売事業者に全てご負担いただいていた送配電設備の維持・拡充に必要な費用について、系統利用者である発電事業者に一部をご負担いただき、より公平な費用負担とする制度です。

新たな託送料金制度(レベニューキャップ制度)の全体像

■ 2023年度から開始されたレベニューキャップ制度では、一般送配電事業者は、国の指針に基づき、5年間の規制期間に「達成すべき目標」を明確にした「事業計画」を作成します。
■ その計画の実施に必要な費用を見積もった「収入の見通し」について国の承認を受け、承認された「収入の見通し」の範囲で柔軟に託送料金を設定できる制度です。

事業計画の概要

設定した目標一覧

高経年化対策の強化

■ 高度成長期に電力需要の増加対応として建設した設備は、このままにしておくと、高経年化に伴う設備の劣化により、設備が損傷するリスクが高まり、停電や公衆災害につながるおそれがあります。

■ そのため、事故時の影響度や施工力を考慮のうえ、計画的な設備の更新に取り組み、停電や公衆災害の未然防止に努めていきます。

再生可能エネルギーの導入拡大

■ 再エネ電源のポテンシャル等を考慮した設備形成や、次世代スマートメーターの導入および配電系統の電圧調整の高度化等に取り組んでいきます。
■ これらの取り組みにより、CO2排出量の削減といった環境負荷の低減および国内資源の有効活用を図り、カーボンニュートラル社会の実現を目指します。

レジリエンス(強靭性)強化

■ 自然災害が多発・激甚化している状況に対し、設備の浸水対策や無電柱化の推進等による停電の減少に取り組み、安定供給の確保に努めていきます。
■ また、災害時の情報発信・関係箇所との連携を強化するとともに、復旧用の移動用変電所・高圧発電機車等を配備して、災害時の早期復旧を図ります。

DX化(効率化・サービス向上)

■ DXとはDigital Trans(X)formationの略であり、デジタル技術による変革のことです。
■ ドローンを活用して設備点検時の安全性向上や費用削減を図るとともに、災害時の現地状況の早期把握に努め、復旧の迅速化に取り組んでいます。
■ また、センサー等を活用した設備の保安レベルの維持・向上や生産性の向上を図るとともに、様々なDX技術等を活用して業務の一層の効率化・お客さまサービスの向上に取り組んでいます。

収入の見通し

■ 高経年化対策の強化、次世代ネットワークの構築に向けた施策、再エネ拡大に伴う需給調整に必要な調整力の確実な確保など、様々な社会的要請に応えるために必要な費用を織り込んだ結果、収入の見通しはレベニューキャップ制度導入以前の原価(以下、「RC前原価」とする)から338億円/年増加し、3,152億円/年となりました。
■ なお、既存コストについては、業務全般にわたる効率化の織り込みおよび効率化係数を反映し、RC前原価から92億円/年 低減しています。

今後の取り組み

■ 経済産業大臣より承認された「収入の見通し」には、これまでの継続的な効率化の取り組みに加えて、資機材調達・工事の更なる効率化、次世代化・デジタル化による業務効率化など最大限のコスト効率化を織り込んでいます。
■ 設備信頼度維持、再エネ増加およびレジリエンス強化など、社会的要請に応えるため、投資・費用全般にわたり計画している効率化の取り組みを着実に進めるとともに、新たな効率化の創出にも努めてまいります。
■ なお、国は、電力・ガス取引監視等委員会に「送配電効率化・計画進捗確認WG」を設置して、各送配電会社の効率化が着実に進捗しているか厳格に確認することとしており、当社も、国の確認に適切に対応してまいります。