原子力全般

Q. 原子力発電のしくみを詳しく知りたい

A. 原子力発電は,原子炉でウランが核分裂する熱を利用し,水を沸騰させて蒸気に変えます。その蒸気の力でタービンが回り,タービンと同じ軸でつながっている発電機を回して発電します。タービンを回した蒸気は,冷やして水に戻し,再び原子炉へ送られます。
「水を沸騰させて蒸気に変え,蒸気の力でタービンを回して発電する」というしくみは,火力発電と同じです。

詳細については,「原子力発電のしくみ」をご覧ください。

Q. 島根原子力発電所は福島第一原子力発電所と同じ炉型(BWR)と聞きました。そのほかにどのようなタイプ(型式)があるのですか。タイプによって安全性に違いはあるのですか

A.日本の原子力発電所は,主に「沸騰水型原子炉(BWR)」と「加圧水型原子炉(PWR)」の2つの型式に分かれます。
BWRは原子炉の中で蒸気を発生させ,その蒸気を直接タービンに送り発電します。一方,PWRは原子炉の中で発生した高温高圧の水を蒸気発生器に送り,そこで蒸気を発生させてタービンに送り発電します。
BWRとPWRで安全性に大きな差異は報告されていません。

詳細については,「原子炉の種類」をご覧ください。

Q. なぜ日本に原子力発電が必要なのですか

A. エネルギー資源の乏しい我が国においては,安全性の確保を大前提に,電力の安定供給,経済性の確保,地球温暖化防止の観点から,各電源の特長を活かしながら,再生可能エネルギー,火力,原子力をバランスよく組み合わせた電源構成を構築していく必要があります。
 また,2050年カーボンニュートラルの実現に向けて,原子力は実用段階にある脱炭素電源として活用されることとなっています。

【原子力発電の特長】

・優れた安定供給性
 原子力発電の燃料であるウランの産出国は,石油などに見られるような特定地域への偏りが少なく,オーストラリアやカナダなどの比較的政情の安定した国から輸入しています。また,少ない燃料で安定的に大量の発電をすることができ,使用済燃料の一部を再び燃料として使用することも可能です。

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燃料のペレット1個(約1cm×約1cm)で一般家庭約8ヶ月分の電気を賄えます

・優れた経済性
 原子力発電のコストは,政府により11.7円~/kWhと試算されており,他の電源と比べても遜色のない水準です。なお,原子力発電のコストは福島第一原子力発電所の事故費用が1兆円増えるごとに約0.01~0.03円/kWh上昇します。
※新たな発電設備を更地に建設・運転した際のkWh当たりのコストを一定の計算式に基づき試算したもの

・優れた環境性
 火力発電は,石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料を燃やして発電するため,発電時にCO2を排出します。一方,原子力発電は,核分裂で得られたエネルギーを利用して発電するため,発電時にCO2を排出しません。

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Q. 海外では原子力の廃止を目指している国もあるので,日本でも廃止できるのではないですか

A. 欧州では国境を越えて送電線や天然ガスパイプライン等がつながっており,日常的にエネルギーの輸出入が行われています。このため,各国の電源構成にはバラつきがあるものの,欧州全体で見ると,再生可能エネルギー,火力,原子力によるバランスのとれた構成となっています。
一方,島国の日本では,欧州のようなエネルギーの融通は難しく,また,必要なエネルギー資源のほとんどを海外から輸入しており,エネルギー自給率は先進国の中でも極めて低い状況です。

そのため,将来にわたって電力を安定的かつ低廉にお届けしていくためには,安全性の確保を大前提に,安定供給性,経済性,環境性に優れた原子力発電を活用していく必要があると考えています。

Q. 少なくとも中国エリアでは電気は不足しておらず,停電も起きていないので,原子力は不要なのではないですか

A. 多くの原子力発電が停止している中,2020年12月から翌年1月にかけて,全国的に厳しい寒さが続き,暖房需要の増加や太陽光パネルへの積雪による太陽光発電量の減少等により,中国エリアにおいても電力需給がひっ迫しました。そのため,他社からの電力融通等によりなんとか供給力を確保することができました。このように,常に電気が足りている状況ではありません。

エネルギー資源の乏しい我が国においては,再生可能エネルギー,火力,原子力によるバランスのとれた電源構成を構築していく必要があり,当社としても,安全性の確保を大前提に,安定供給性,経済性,環境性に優れた原子力発電を活用していくことが必要であると考えています。

(原子力発電の運転停止による影響)
1.経年火力発電所の高稼働運転が続いており,計画外の運転停止の可能性があります。
2.火力発電の燃料費が増加しており,収支上も大きな負担となっています。
3.火力発電の焚き増しによるCO2の増加が懸念されています。

Q. 安全対策等の費用を考慮すると,原子力発電は他の電源よりコストが高いのではないですか

A. 2021年に政府の発電コスト検証ワーキングが各電源の発電コストを示していますが,他の電源と比較して遜色のないコスト水準と考えています。

【参考】1kWhあたりの電源別発電コスト(2030年モデルプラント)

  原子力※ 太陽光
(事業用)
太陽光
(住宅)
陸上風力 洋上風力 中水力 小水力 石炭火力 LNG 火力 石油火力
コスト(円/kWh)  11.7~ 8.2~11.8 8.7~14.9 9.8~17.2 25.9 10.9 25.2 13.6~22.4 10.7~14.3 24.9~27.6
設備利用率 70% 17.20% 13.80% 25.40% 33.20% 60% 60% 70% 70% 30%
  原子力※ 太陽光
(事業用)
太陽光
(住宅)
陸上風力 洋上風力 中水力 小水力 石炭火力 LNG 火力 石油火力
稼動
年数
40年 25年 25年 25年 25年 40年 40年 40年 40年 40年


※ 原子力発電については,福島第一原子力発電所の事故費用が1兆円増えるごとに約0.01~0.03円/kWh上昇
出典: 発電コスト検証ワーキンググループ「基本政策分科会に対する発電コスト検証に関する報告」(2021年9月)