福島第一原子力発電所事故を踏まえた島根原子力発電所の安全対策

Q. 福島第一原子力発電所はなぜ事故に至ったのですか

A. 福島第一原子力発電所の事故は,国内観測史上最大となるマグニチュード9.0という巨大な地震をきっかけに起こりました。揺れを感知して原子炉は自動停止しましたが,およそ1時間後に襲来した約15mの巨大な津波で,原子炉を冷やす機能が全て失われ,原子炉圧力容器や原子炉建物等が損傷し,発電所外に放射性物質を放出する事態となりました。

Q. 福島第一原子力発電所の事故を受け,島根原子力発電所では,どのような安全対策を講じているのですか

A. 東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて,国は2013年7月に原子力発電所の新たな規制基準を策定しました。

当社は,福島第一原子力発電所のような事故は二度と起こさないという強い決意のもと,新規制基準に適合することはもとより,更なる安全性向上に向けた対策を講じています。

<地震への備え>
 考えられる最大規模の地震に対して余裕をもった設備とするため,敷地内の地下構造や敷地周辺の地質など,徹底した調査を実施しています。また,発電所の機器・配管等の耐震安全性を高めるため,耐震補強工事を実施しています。

<津波への備え>
 想定される最大津波高さ海抜11.9mの津波に対し,海抜15mの防波壁を設置し,敷地内へ津波が浸入することを防ぎます。また,万が一,防波壁を越える津波が襲来しても,建物の外側扉と内側の通路や設備室入口等に設置した水密扉により安全上重要な設備への浸水を防ぎます。

詳細については,「島根原子力発電所の安全対策」をご覧ください。

Q. 安全対策の設備はいざという時にきちんと使えるのですか。

A. 島根原子力発電所では,大規模地震や津波の発生によって全ての電源が喪失するなど,さまざまな原子力災害を想定した訓練を繰り返し実施しています。また,年に1回実施する総合防災訓練では,事前に訓練内容を参加者に告知することなく,刻々と変化する設備の状況や指示数などから,事故収束までの対応を行う訓練を行い対応力の向上を図っています。
万が一の時に迅速かつ的確に対応できるよう,今後も継続的に訓練を実施してまいります。

詳細については「緊急時対応訓練の実施」をご覧ください。

Q. 原子力発電所の安全性については,誰が判断するのですか。

A. 新規制基準や最新の技術的知見等に照らし合わせた安全性については,原子力規制委員会にて判断されますが,島根原子力発電所の安全性を向上させることは,当社の責務であり,今後もより一層,安全性の向上を図りながら,原子力発電事業に取り組んでまいります。

Q. 万一重大な事故が発生した場合の地域の防災対策において,中国電力は原子力事業者としてどのような役割を担うのですか。

A. 原子力事業者は,法令に基づき,原子力災害の発生・拡大の防止,復旧に必要な業務等をまとめた「原子力事業者防災業務計画」を作成することとされています。
当社はこの計画の中で,関係自治体に対して,防災上必要な要員の派遣,防災資機材の提供等,必要な措置を講じることとしています。また,万が一,原子力災害が発生した場合には,避難者や車両の汚染検査などを行うこととしており,平時から教育・訓練を実施しているほか,自治体主催の原子力防災訓練に参加することで連携強化を図るなど,原子力事業者として最大限の役割を果たしてまいります。

詳細については,「原子力防災対策」をご覧ください。

Q. 万一事故が起こった場合,中国電力はどう責任を取るのですか。

A. 住民の皆さまに損害を与えた場合には,原子力損害の賠償に関する法律に基づく損害賠償措置,原子力損害賠償・廃炉等支援機構法に基づく事業者間の相互扶助スキームにより,被害者の皆さまへの賠償がなされます。
当社は誠意をもって対応する考えですが,何よりも事故を起こさないこと,事故が起きた際には周辺地域への影響を最小限にとどめることが重要であり,福島第一原子力発電所のような事故を二度と起こさないという強い決意をもって,島根原子力発電所の安全性向上に努めてまいりたいと考えています。

Q. 島根原子力発電所では,どのようなテロ対策を講じていますか。

A. テロ対策については,国防に関わる部分も大きいですが,原子力事業者に対しても従来から核物質防護の観点から対策が義務付けられており,警察や海上保安庁等とも連携しながら発電所構内外の警備を実施しています。
また,高圧発電機車や大量送水車等の震災以降実施した対策についても,分散配備を行うなど一定のテロ対策の機能を有しているものと考えています。
加えて,更なるバックアップとして,故意による航空機衝突などのテロリズムによって炉心損傷が発生した場合に備え,「特定重大事故等対処施設」※を整備することとしており,現在,設置する敷地の造成に向けた準備を進めています。

※故意による航空機衝突などへの更なるバックアップ対策として常設化が要求されている施設。原子炉建物から100m以上離れた場所に設置し,電源,注水ポンプ,これらを制御する緊急時制御室を備える施設で,本体施設等に係る工事計画認可から5年以内に設置することが求められています。

Q. 島根原子力発電所では,ミサイル攻撃を想定しているのですか

A. ミサイル攻撃等の場合,国防に関わる部分が大きいため,事業者単体での対応は難しいですが,警察や海上保安庁等とも連携しながら発電所構内外を警備するとともに,大型航空機の衝突も想定した対策を講じています。
また,テロへの対策として,高圧発電機車や大量送水車等の可搬式設備を配備していますが,更なるバックアップとして「特定重大事故等対処施設」を設置することとしており,ミサイル攻撃に対しても一定の対策になると考えています。