原因

 なぜ,今回の点検不備に至った問題が解決されずに今日まで来たのか,その背景および原因について究明・分析を行いました。

直接的な原因

 点検時期を超過していた機器511機器および定期事業者検査に係る153機器について,21項目を特定しました。主な直接原因は次のとおりです。

  • 点検計画表策定時,点検計画表の妥当性確認の計画を定めていなかった。
  • 点検計画表がわかりにくく,点検項目を「点検計画表」から見落とした。
  • メーカーの製造中止により点検工事を中止した場合の変更等の手順が不明確だった。
  • 保修部門に対する不適合の判定に関する教育が不足していた。
  • 未点検の報告がなければ点検されたものとして業務が進むような仕組みだった。
  • 点検計画表に基づき「定期事業者検査要領書」を作成するルール等が不明確だった。
<参考資料>
「点検時期超過及び定期事業者検査時期超過他の直接原因」 [PDF:26KB]

直接的な原因に対する再発防止対策

根本的な原因

 今回の事案について,点検計画表の制定経緯やその運用状況等の事実関係を整理した上で,本来あるべき状態・行動と比較して問題点を抽出し,分析を行った結果,次の3つの根本的な原因を特定しました。

  • 不適合管理を適切,確実に行うための仕組みが不足していた。
  • 規制要求事項の変更に速やかに対応してマネジメントできる仕組みが十分でなく適切な対応ができなかった。
  • 組織・風土に関して,「報告する文化」※1,「常に問いかける姿勢」※2が組織として不足していた。

根本的な原因

(※1)「報告する文化」とは,個人的なエラーやヒヤリハット事例,組織にとって望ましくないと思われる情報等を懸念なく報告できる雰囲気が職場に醸成されている,また上級管理者が率先してその模範的な役割をはたしていること。

(※2)「常に問いかける姿勢」とは,安全に関わる自らの行動や機器の状況,さらに組織のあり方などについて常に問いかける姿勢が組織構成員に定着していること。

(※3)「不適合」とは,本来あるべき状態とは異なる状態をいう。発電所では,通常の点検で見つかる計器等の故障等から法律等で報告が義務付けられているトラブルまで,広範囲の 不具合事象が対象となる。こうした不具合事象が放置されることを防ぐため,正常な状態と区別して管理することを「不適合管理」と言い,「不適合」に対しては,継続使用をしない場合と,機器の健全性を確認して継続使用する場合がある。「不適合管理」を適切に行うことで,改善が進み,より一層の安全性向上につながる。

(※4)「規制要求事項」とは,法令や原子力安全・保安院指示文書等により,原子力発電所の安全確保全般について,原子力発電事業者に求められる事項のことをいう。

根本的な原因に対する再発防止対策

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