第33回 自治体説明会

《開催日》2020年11月9日(月)14時00分~15時55分
《出席者》島根県,松江市,出雲市,雲南市,鳥取県,米子市,境港市

前回の説明会(2020年8月11日)以降に開催された計7回の審査会合の概要等についてご説明しました。

〇ご説明資料

ご説明資料については,以下のリンク先に掲載している「新規制基準適合性に係る審査の実施状況一覧(時系列)」の中の該当の審査会合欄をご覧ください。(審査資料を掲載している原子力規制委員会HPへのリンクを設定しています)。

なお,説明会では,審査資料を一部抜粋したものを用いて説明しています。

アドレス:https://www.energia.co.jp/judging/itiran.html

<津波に関する項目>

○対象となる審査会合

8月20日(164回目),9月3日(167回目),10月15日(170回目)

○主なご説明内容

防波壁の構造についての設計方針,漂流物衝突荷重の設定方針などについてご説明。

○自治体からの主なご質問

  • 漂流物の影響評価について,先ほど施設護岸から500mの内側と外側で分けて説明があった。基本的に発電所に向かう海の流れについては,連続的な流れはないが一時的な流れとして到達する可能性があるので,500mをしきい値として内側と外側で分けて検討を行うとの説明であったが,500mのしきい値というのは先行プラントではあまり議論されていなかったと思う。これは島根原子力発電所の近海の流速を踏まえた検討の結果なのか教えて欲しい。

    ⇒施設護岸から500m程度離れた位置では流速が1m/s程度と小さいことを踏まえ,施設護岸から500m以内と以遠で2つに区分した。沖にいくと,特に島根の場合は海がすぐ深くなっており,海が深くなると津波時の流速も小さくなる。施設護岸から500m程度離れると,流速が1m/s程度なので,まずはそこで区分した。施設護岸から500m以内で操業する漁船の,地震発生後約180分~200分後の評価では,3号北側防波壁及び1号放水連絡通路防波扉から約50m以内の水深が約20mの浅い位置において,5m/s以上の流速が確認されていることから,ここで漁船が航行不能であった場合は施設護岸に到達する可能性がある。したがって,施設護岸から500m以内の範囲でも,さらに水深が20m以内,距離にして50m以内のところでは瞬間的に速くなる流速があるということで,この範囲にある航行不能になった漁船については,施設護岸に到達する可能性があると評価している。500m以内でも漂流物が発電所へ到達する可能性があるのは限られた範囲であると評価しているが,保守的に考えて500mの範囲まで広げて適用した。

  • 500mは保守的に設定して提示されたものと思うが,原子力規制委員会の審査会合では500mより外側のイカ釣り漁船についても議論になっていたと思う。500mより外側であっても何らかの考慮が必要だと考えているのか。改めて評価するように言われていると思うが,現在どのような状況か。

    ⇒審査会合で説明した際に,500mより以遠であっても500mより少し離れたところにイカ釣り場があるので,操業はしないまでも航路として航行するのではないか,とか将来的に操業範囲が変更される可能性もあるのではないか,それを設計としてどのように考えるのかとのご指摘をいただいている。現在社内で検討を行い,今後回答していくこととしており,漂流物の選定については,まだ継続審議中の状況となっている。

  • 新聞の記事の審査官の言葉で「500m以内とその外側では衝突荷重が2桁異なることもある」との表現があったが,500mより外側の方が2桁小さくなるとはどういうことか,説明願いたい。

    ⇒原子力規制庁の審査官が,500m以内の場合と以遠の場合で,その初期位置によって荷重が違うとの発言をされている。先行プラントの審査でそのような議論をされていたが,当社としてはその内容までは詳細には把握していない。500mという範囲は先行プラントと一致させたものではないが,選定した漂流物について,今後いろいろな解析・試験等をしながら,適切な荷重になるように計算していきたい。原子力規制庁がそのような意見をもっていることは認識しているが,当社としては,今後適切な荷重算定をしていきたい。

  • 初期位置が関係していたり,衝突にあたってはある程度減衰されるということだと理解した。また,500mよりも外側にいるような2,000トン級のタンカーや貨物船などは考慮する必要がなくなり,そのうえでイカ釣り漁船を考慮する対象に入れるということかと思う。そのうえで,審査官からコメントがあったと思うが,漁船というのはボディがFRP製であるため,衝突があったとしても船の方がへしゃげる方向に働き,現実的には,決して防波壁にひびがはいるようなことはないのではないかとのことであった。FRP船の解析もなかなか難しいとは思うが,今後,どのような解析をされるのか,方針はあるのか。

    ⇒現状の一般的な衝突荷重の算定式については,FRP製であるとか,鋼製であるとか区別がはっきりしたものはなく,まだ研究途上である。我々としては,先行例もそうであるが,FRP船であっても非常に硬い鋼製に近いものとして保守的に評価をしているので,非常に大きな衝突荷重になっている。そのようなこともあり,実態と違うとの認識を原子力規制庁はもっておられるようで,やはり今回竜巻の影響評価で使っているような衝突荷重を算出できるような解析を使ったらどうだろうか,といった話も原子力規制庁とはしているので,今後そのような方法も使って,実態にあった衝突荷重を算出できるように詳細設計段階で説明しようと考えている。

  • 詳細設計段階とのことであるが,方針だけでも示すことはあるか。

    ⇒方針として,漂流物対策工は漂流物衝突荷重の軽減が期待できることから,3次元FEMモデルによる漂流物衝突評価を実施する,ということを設置許可段階では記載しており,実際の設計の結果については,詳細設計段階で説明させていただくことを考えている。

  • 防波壁の設計方針に関して,今回中詰材の改良を追加でされるとのことであるが,改良で用いる工法例である高圧噴射撹拌工法について,施工イメージ図では,地面から垂直に穴を掘っているが,ケーソン中詰材改良の施工イメージ図では斜めに穴を掘っている。斜めに穴を掘る工事は過去に実績があるのか。また,施工イメージ図では海側から掘っているように見えるが,海側から穴を掘るといった工事の成立性は確認されているか。

    ⇒島根原子力発電所では,ケーソン内の中詰材の剛性向上を目的として,高圧噴射撹拌工法にて中詰材を改良した施工実績がある。施工にあたっては,海側から斜めにして中詰材の剛性向上を行っており,海側からの工事の実績もある。

  • イメージ図と同じ工法の工事実績があることは理解した。もう一点,ボーリングで細い穴を掘って中を撹拌するとのことであったが,このような工法をとった後に,中詰材が均一に撹拌されている品質をどのように担保するのか,なかなかイメージできないので,品質管理の方法を詳しく教えて欲しい。

    ⇒施工後の品質確認試験を行っている。具体的には,PS検層を行って品質確認を行っているが,今後は加えてボーリングでコアを抜いて実際に中詰めの砂がきちんと改良されているか確認する予定である。

  • 防波壁の設計方針について,放水路はケーソン(構造概念図)のどこの部分を通っているのか。下を通っているのか,または貫通しているのか。また,ケーソンの構造成立性は地盤改良部と同様に3次元解析による検討を行うのか。

    ⇒ケーソンの下に放水路が通っている構造となっている。構造成立性については,今後詳細設計段階で説明していく。

<プラントに関する項目>

○対象となる審査会合

8月27日(165回目) ,10月22日(172回目)

○主なご説明内容

溢水による損傷の防止等,竜巻影響評価などについてご説明。

○自治体からの主なご質問

  • 竜巻の横滑り防止対策について,原子力規制委員会から不要な保守管理を行うことによって,現場作業員のコンプライアンスの意識低下に繋がるのではと厳しい指摘があったのを承知している。原子力規制庁の考え方は基準適合状態の維持であり,状況が変わっても設計に影響がないようにあらかじめ保守的な評価をすることだと思うが,1号機があることを前提に評価するというのはその考え方と矛盾していると思う。その点で,今回の説明内容は妥当な選択になったと思う。審査会合の最後に,今回の選択肢が現場作業員の総意かと質問があったと思う。現場作業員には協力会社も入っていると思うが,現場作業員の総意というのはどのように確認されたのか。

    ⇒必要のない設備を点検するというルールを作ると,必要のない点検をさせられるということでコンプライアンス意識が低下して,そのうち点検しなくなるのではないかというご指摘だったと思う。横滑り対策エリアの変更前では,1号機の建物をないものとして扱うため,2号機と1号機の間に何かを作って点検しないといけないこととなる。既設のガードレール等を障害物として考慮し設定した変更後の方が,規制庁のコメントに従った,理にかなった設備になっていることを説明した。これについては,発電所側の点検を計画する部署に確認し,意見も聞いている。点検をする部署が当社なので協力会社等には確認はしていないが,島根原子力発電所とは連携を取りながら対策案を策定して説明した。従って,現場の意見も十分汲んだものになっている。

  • 竜巻の横滑り対策として,新たな巡視点検項目は生じるのか。

    ⇒新たな項目はない。それぞれ設置許可基準規則の条文が違うので,例えば,片方側の要求から撤去や位置を変えることが起こった時に竜巻側でも検討がされるような仕組みを作る必要がある。仕組みについては現在検討しているが,発電所のQMS(品質マネジメントシステム)の中で管理する。

  • 地滑りによる土砂崩れが起きた際の土砂の撤去について,5日から1か月に伸び,地震との組み合わせを考慮する必要がでてきたとあったが,1か月に伸ばすことになった経緯は何なのか。

    ⇒審査会合で,土砂崩れがあった際にすぐに現場へ行くというのは,作業者の安全性について検討が足りていないのではないかと指摘をいただいた。作業安全等も含めて考え,短い時間での土砂撤去は現実的ではないということで長めの時間を設定した。1か月かかるとは思っていないが,詳細な時間を設定することは難しいということで,1か月あればどのようなものでも対応可能だろうと安全性を考えて設定した。

  • 竜巻の横滑り対策について,横滑りエリアの境界は単なるガードレールではなくて,フェンスみたいなものというイメージをもてば良いのか。また,竜巻の横滑り防止エリアや飛来物発生防止エリアは,車両や鋼材等が飛ばないように固縛等を行うエリアということで良いか。

    ⇒横滑りの要求事項としては,ちょっとしたコンクリートの段差でも,竜巻によって浮力がかかって横風を受けて,大型の車両が横滑りすることを防げるような段差であれば良いとなっている。したがって,段差も含めて考慮することになる。基本的には,ガードレール等と言っているものについては,ガードレールとフェンスを含んだもの。また,飛来物発生防止エリアでは,車両等は固縛をする。

  • 横滑り対策エリア内では,固縛も行うが,エリアの境界はそこまでは要求されていなくて,段差等があればそれで十分であるという理解で良いか。

    ⇒横滑り対策エリアの境界は,段差あるいはフェンス・ガードレール等で良いが,横滑り対策エリアの中にあるものについては,移動させるか固縛するかの対策が必要になる。

<火山影響評価および地盤・斜面の安定性に関する項目>

○対象となる審査会合

8月27日(165回目),9月18日(168回目),10月16日(171回目),10月22日(172回目)

○主なご説明内容

火山影響評価,耐震重要施設および常設重大事故等対処施設の基礎地盤および周辺斜面の安定性評価についてご説明。

○自治体からの主なご質問

  • 火山について,原子力規制庁は,露頭でどのくらい火山灰が溜まっているかという地質学的なデータを重視するという考えだが,現地調査において,新しい文献に対応する形で実際に50cm以上の火山灰が溜まっているような場所は確認しているのか。

    ⇒実際には,発電所からの距離を考えると50kmくらいのところを重要視して調査するべきと考えている。具体的には広島県の北部や鳥取県,島根県のあたりを現地確認している。色々な文献で50cmや100cmの記載があるので,実際に現地を歩き,分析をしているところ。現在,結果を取り纏めているので,なるべく早い段階で原子力規制庁に説明し,審査会合で審議してもらう。

  • 火山灰の層厚が56cmという値になると,国内の原子力発電所でも最大級となり,原子炉建物やタービン建物に積もった時を想定すると,建物の荷重評価にも影響があると思うが,建物の健全性評価への影響は既に確認しているのか。

    ⇒社内的には確認しているところであるが,詳細については,詳細設計段階で説明する。

  • 大山については,論点は残っていないという理解でよいか。

    ⇒9月18日の審査会合で原子力規制庁からコメントをもらっていないので,残っていないと認識している。

(全体を通したご質問)

  • 安全対策工事を1年延期するとのことだが,本日の説明の中でも審査がまだ終了していない項目もあると思う。今後,さらに追加対策が必要となる可能性があるのか。また,それが工期に影響するのか。

    ⇒審査は原子力規制庁が主体となって行っており,我々としては審査を受ける立場なので,審査でこの後新たな観点や論点が出て,対策が必要となるかどうかについて,当社側から申し上げるのは適切ではない。我々としては,現在行っている対策で十分だと考えているので,そこを審査会合で丁寧に説明していく。

  • 今のところは,追加の工事は必要ないという説明を行うということか。

    ⇒工事の詳細内容は,設工認段階で工事の施工方法と設計について説明することになるので,その段階にならないと工事の妥当性というのは確認できないが,現在我々が設置許可段階で説明している内容は設工認も踏まえて説明しているので,現在計画している内容で十分だと思っている。

以上

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