技術研究・経済研究・知的財産

知的財産戦略

競争力強化の源泉として

 2016年4月の電力小売全面自由化以降,競争が一層激化するなか,2020年4月には送配電部門の法的分離により当社は転換期を迎えます。エネルギーを取り巻く環境が大きく変化するなか,当社が競争力強化の源泉として重視している取り組みのひとつが知財活動です。知財活動とは,業務を通じて生み出された自社技術を知的財産として特許などの形にし,それを活用することで企業価値の向上につなげる取り組みのことです。

 当社の知財活動の特長は,研究・開発分野の社員だけではなく,業務運営のあらゆる場面を想定した全社員を含めた取り組みであることです。発電所など現業機関の社員による発明の割合が高いこと,また事務系社員の発明も多数あることも大きな特長のひとつです。お客さまへ電気をお届けする過程ではさまざまな工夫がなされており,各現場で開発・蓄積された多くの技術を知財化しています。それら基盤技術を「自社の権利」として確保することは,事業活動の自由度を確保することであり,競争優位にも資する重要な取り組みと位置づけています。

 今後,当社はエネルギー事業に加え,新たな事業領域の開拓にも挑戦していきます。これまで以上にスピード感,柔軟性が求められることから,高い技術力を持つ企業を発掘し,連携するオープンイノベーション等の取り組みも取り入れながら,研究開発の加速や成果活用・業務課題解決につなげていきます。これらの取り組みを知財面から支えていくことが競争力強化の源泉となると考えています。

特許登録件数は業界1位

 中国電力が知財活動を本格的に始めたのは2000年代の初頭。全社を挙げて取り組んだ結果,発明者は社員のおよそ4割にのぼるまでに増加し,エネルギー業界トップの特許出願件数につながっています。更に2010年以降の特許新規登録件数もエネルギー業界でトップ。社外からも高い評価をいただいており,2011年にはエネルギー業界では初めて「知財功労賞(経済産業大臣表彰)」を受賞しました。

 登録特許の事例としては,たとえば「低温脱硝触媒」「配電線故障点標点システム」「お客さま向けポイントシステム」「環境配慮型コンクリート」「火力発電所の余寿命診断技術」など実に多彩です。2019年12月末時点で特許登録件数は約3,400件に達しています。

特許登録件数業界1位