中国電力 灰カラ三姉妹

Hiビーズ 水質や悪臭を浄化して環境修復に役立つ海砂の代替材

瀬戸内海の海砂採取が規制されるなか、石炭灰から生まれたHiビーズは、海砂よりも優れた特性を持つ代替材として活用されています。港湾や河川、湖、池などに覆砂することで、軟弱な地盤を改良して水質を浄化。悪臭の原因となる硫化水素や栄養塩の溶出を抑制する効果があるため、ヘドロ化した水底の地盤改良材や、生物の生息を助ける環境修復材としても幅広くご利用いただけます。

Hiビーズの特性

石炭灰のフライアッシュに少量のセメントと水を混ぜて、直径約10~20mmの粒状に固めたHiビーズの特性は、砂よりも軽くて吸排水効果が高いこと。微細な穴がたくさん空いている多孔質のため、スポンジのような働きをします。
そのうえ、石炭は長い年月をかけてできた植物の化石なので、それを燃やした副産物である石炭灰は、安心してお使いいただける資源です。

Hiビーズ5つの特長
  • 1 微細な穴を持つ0~40mm(主な粒径10~20mm)の粒状です
  • 2 天然砂より軽く、吸排水効果がバツグン
  • 3 ヘドロの悪臭を抑制します
  • 4 硫化水素の溶出を抑制します
  • 5 天然砂と同様に一般的な施工ができます

石炭灰をリサイクルした「Hiビーズ」は、海洋生物の生息を助ける環境修復材として、海域で取り込まれる炭素「ブルーカーボン」の普及にも貢献しています。

12 つくる責任つかう責任
2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
14 海の豊かさを守ろう
2020年までに、海洋及び沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避するため、強靱性(レジリエンス)の強化などによる持続的な管理と保護を行い、健全で生産的な海洋を実現するため、海洋及び沿岸の生態系の回復のための取組を行う。

活用事例

事例 1
海域
尾道市松永湾の実証実験でアサリ資源の回復を確認(広島県)
Before

尾道市を代表する食材のアサリが、危機的な状況にまで激減していた。

after

after Hiビーズを使って、アサリの生息地を再生させる実証実験を行ったところ、
アサリの量が増えたことが確認されましたの!

干潟にHiビーズを敷き詰めることで、アサリの回復が期待できます。
干潟の一次生産力が向上
Hiビーズの効果で栄養塩やミネラルが供給されるので、Hiビーズの表面にはアサリのエサになる微細な藻類が付着しやすくなります。
アサリの食害を防ぐ
アサリの天敵である肉食巻貝(サキグロタマツメタ)やエイ等は、Hiビースが邪魔をしてアサリをうまく捕食できず、食害防止の効果が期待できます。
イメージ図
事例 2
海域
福山港内港への覆砂で悪臭を抑制(広島県)
Before

閉鎖性水域であることや生活排水(下水排水・汚泥)が流入しているため、富栄養や悪臭が発生。

after

after Hiビーズを海底に散布し、ヘドロの浮上を抑えることで、Hiビーズ表面に藻類が付着。
鳥や魚なども確認でき、周辺環境も改善されましたわ。

底質から浮上し大量発生したスカム
Hiビーズ覆砂によるスカム低減
事例 3
汽水湖
中海再生の窪地埋め戻しで硫化水素や栄養塩の溶出を削減(鳥取県・島根県)
Before

干拓事業などにより、湖底に窪地ができてヘドロが堆積し、水質汚染を引き起こしていた。

after

after 窪地にHiビーズを投入して埋め戻したところ、硫化水素などの溶出を大幅に削減でき、
赤貝やアサリが生息する環境が回復したのです。

Hiビーズ投入の様子
水底質が改善し赤貝の養殖が可能に
事例 4
感潮河川
日本橋船着場周辺の環境改善事業による河川の悪臭対策(東京都)
Before

船着場周辺に土砂が堆積し、ヘドロ化しやすい環境にあるため、悪臭が発生していた。

after

after 河岸にHiビーズを設置し、
臭気成分の発生抑制が確認されました。

日本橋川の水質改善材として利用
2020年度土木学会全国大会第75回年次学術講演会概要集より引用
事例 5
感潮河川
広島派川の水辺空間を形成
Before

河岸は底泥がヘドロ化して、人の立ち入りが困難だった。

after

after Hiビーズの覆砂により、
ヘドロ化が改善して人の歩行が可能になりましたの。

施工前の軟弱ヘドロ層
Hiビーズ覆砂により、人の歩行が可能に

Hiビーズの品質

品質項目 単位 試験方法 規格値 備考
土粒子の密度 g/cm3 JIS-A-1202 2.1~2.4 沖積粘土2.5~2.75、砂質土2.6~2.8、
水砕スラグ2.6~2.9
乾燥密度 g/cm3 JIS-A-1225 0.8~1.1 沖積粘土0.5~1.4、砂質土1.2~1.8、水砕スラグ0.8~1.1
湿潤密度 g/cm3 JIS-A-1225 1.0~1.4 沖積粘土1.2~1.6、砂質土1.6~2.0、水砕スラグ0.9~1.3
含水比 JIS-A-1203 15~35
粒度(ふるい) JIS-A-1204 粒径加積曲線参照
透水試験(40mm以下製品対象) m/s JIS-A-1218 1.04×10-2m/s(0Ec)
4.99×10-7m/s(6Ec)
再適含水比 JIS-A-1210 40~50(5mm以下)
20~30(40mm以下)
吸水率 JIS-A-1110
JIS-A-1109
15~25 水砕スラグ0.5~3.0
三軸圧縮強度(内部摩擦角)
(40mm以下製品対象)
JGA 0524 35以上(0Ec)
45以上(6Ec)
礫質土35°、砂質土30°、水砕スラグ35°
圧潰強度 MPa JIS-Z-8841 1.2以上
重金属の溶出試験 - 海洋汚染基準
(昭和48.2.17総令6)
基準値以下 陸上利用の場合は「土壌の汚染に係わる環境基準」を満足すること
  • (注)湿潤密度、乾燥密度は最大乾燥密度(最適含水比)の90%密度に突き固めた値である。